今年からNISAがスタートするなど、久々に株式市場に参戦した投資家も多いだろうが、個人投資家レベルでは儲かっているという話を聞くことはない。含み損に耐えるステージにいるようだが、次のボーナスステージが来るまでに間に、励ましの意味も込めて閑話休題してみることにする。
2012年に英国でおもしろい実験が行われている。高級紙ガーディアンによると、猫対プロ投資家対学生という対戦が行われたのだ。投資資金5000ポンドでスタートし、FTSEインデックス銘柄の中から選び、スタートから3カ月後に入れ替えが可能。
ちなみに、猫のオランド君の銘柄選択方法は、いつも遊ぶネズミのおもちゃを数字が書かれた紙の上に投げさせて、それに基づいて銘柄を選択するというルールだ。
結論から言うと、オランド君が勝利した。経過としては、プロが終始リードを保ってきたそうだが、第3四半期でオランド君に逆転を喫したという。
猫 5542ポンド
プロ 5176ポンド
学生 4840ポンド
オランド君は銘柄を選んだというよりも、単なる偶然にすぎない。まさに、株価の値動きについての「予測の不可能性」を説明する理論「ランダムウォーカー理論」を実証してしまったわけだ。
著名ブロガーの藤沢数希氏の著書「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」などでも紹介されているが、しょせん人間に未来予測はできないということだ。
もしも、投資を生業としていないのであるなら、余剰資金で確実にやるか。あるいは、次の暴落局面に備えて、買い漁る資金を貯めておくか、ということが今できることだろうか。
人間の投資はサルにも猫にも負けるという身も蓋もない話になるが、もちろん、全人類が負けるわけでもないだろう。
人間の考えを介さないヘッジファンドのシステムがトレードするCTAとしては、ルネサンス・テクノロジーズ、マンブルークレスト、ウィントンなどがある。
人間の頭を介し、数年に一度は超大勝ちするグローバルマクロ戦略に、ジョージ・ソロス
スタンレー・ドラッケンミラー、ジョン・ポールソン、ポール・チューダー・ジョーンズらの大御所がいる。
オールラウンダーのマルチストラテジーには、業界史上歴代最高リターンを挙げているレイモンド・ダリオ氏がいる。
もちろん、このレベルにまで達すれば勝てるのだろうが、自身で相場に参戦する個人投資家は細心の注意を払う方が良い。