評判の悪い国税庁の「e-Tax」。確定申告の際に納税者それぞれに葛藤が、あるようだ。
最近では年収2000万円以上の会社員だけでなく、医療費控除などもあり、馴染みある人が増えているが、今一度説明をしておくが、このシステムは国税庁のホームページ上で済ませてしまうため、税務署へ出向く義務は必ずしもなくなる。インターネットなので、24時間の入力は可能になった(メンテナンス期間をのぞき)。
一見すると便利なように見えて、実はこれが慣れない人にとっては、ひじょうに面倒なのだという。画面に入力すれば良いだけ、と考える人はまだまだ国税庁を知らない。
「事前準備セットアップは以前に行ったのに、また、年度ごとにやらないといけないとは…」 と、今回が2回目という都内の30代兼業投資家は言う。そう、入力の前にやるべきことがあたくさんあるようなのだ。もちろん、入力でも煩わしさがあり、パスワード入力などで連続でミスをすると、止まるという。
・電子証明書やICカードリーダライタの取得・設定
・事前準備(ルート証明書のインストール、信頼済みサイトの登録)
・開始届出書の送信、利用者識別番号の取得
・電子証明書のe-Taxへの初期登録
・e-Taxソフトのダウンロード、インストール
この設定を行って初めて利用が可能なのだ。しかも、毎年度だ。これらの言葉を聞いただけで意味がわかる人も少ないだろう。もうこれだけで、ついていけなくなる人もいるかもしれない。
国税行政運営の効率化について言えば、平成24年度の事務処理の削減時間は合計10万2860時間で、前年比3131時間も削減できたことになる。簡素化して普及をさせたいのが国税庁の本音だが、普及を難しくしている要因もある。
個人情報保護、さらには、インターネット犯罪の防止のためのセキュリティ強化などが影響している。このために、面倒な手続きはどうしても現状では必要。ここにジレンマがある。
実際に脱税事件でその被告人が公判の中で、e-Taxのことを「複雑でわかりにくかった」と証言した笑い話もあるほどだ。
国税庁によると、所得税申告は利用が22年度の44.1%から24年度は50.4%まで上昇。ただ、これは自分一人ですべてできたという割合ではなく、サポートを得てできたというデータも入っている。今後も増加は続いていきそうだが、「わからない」というしぶとい層は30代でも、いまだに存在するのだ。