話題の「偏差値30から慶応合格の金髪ギャルさやかちゃん」、ウソかホントか

 話題を呼んでいる著書「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」が発売から3カ月で、累計21万部に到達した。


 これは、学校で「人間のクズ」と呼ばれ、高校2年で学力は小4年レベル。聖徳太子を「せいとくたこ」と読んでいた偏差値30のギャル・さやかちゃんが、塾講師である著者・坪田信貴氏から心理学を駆使した指導を受け、やる気に目覚め、慶應義塾大学に合格するまでを追った実話。

 ちなみに、表紙はさやかちゃんではなく、モデルさん。

 坪田氏は青藍義塾(せいらん・ぎじゅく)の代表で、起業家でもある。教え子には、高3の夏まで文系だった女子が国立大学医学部に合格したり、高2で学年100番以下だった男子が東大に合格したなどという逸話を持つ学生がいるという。

 以下は坪田氏への一問一答

◆やる気スイッチの入れ方は?
 「勉強しなさい!」などと叱っても、やる気は出ません。やる気になるのは、「少しできるようになった」後です。また、人間は行動の主体を他人に預けたくない生き物なので、「勉強しなさい」と言われて、それに従うことを嫌がります。結果として子どもが反発してしまいます。

 また、「やればできる」と言われると、子ども(や部下)は、「やって出来なかったら、失望される。やる能力のないことがバレてしまうのが、恐ろしい」と潜在的に感じてしまいます。なので、永遠に期待してもらえるよう、あえて「やらない」ようになるのです。そもそも、やる気のない子に、「勉強しなさい」と言っても、何をしたらいいのかわからないケースも多く、具体的に指示をすることも大切です。例えば、「帰宅したら、まず、机の前に座ろうね」「わからない言葉は、こういう風に辞書を引くと、わかるんだよね」などといった指示や知識を与えるのです。

 これらを教えたら、あとは少しでもできるようになるたびに褒めましょう。大目標とは別に、日々の小さな小さな目標を設定しましょう。そして小さな課題をクリアしたことを日々褒めていくと、だんだんできるようになり、その後にようやく、やる気が出てくるのです。

◆子どもや部下は褒めて伸ばすべきか? 叱って伸ばすべきか?
 叱っては、人は伸びないのです。「この先生(上司)は苦手だ、嫌だ」と感じると、無意識のうちに、脳が、その方の発する情報を拒絶するようになります。すると、子どもや部下はどんどん情報を聞き逃し、失敗するようになり、自信も喪失し、ますます勉強や仕事を嫌いになり、更に脳が情報を拒絶する、という悪循環に陥ります。

 ですので、叱ってよいのは、絶対の信頼関係が築かれた後です。先生も上司も、子どもや部下を伸ばしたいなら、初対面から最低でも3カ月間は、いっさい叱るべきではないと考えます。

◆褒めてばかりいたら、調子に乗り、うぬぼれてしまうのでは?
 ぜひ調子に乗ってもらって、それが失敗を招くなら、そのまま失敗させたら良いのです。絶対に失敗してはならないこと(命に関わる時など)に関してだけ、親や上司がチェックをしてあげれば良いのです。人間は、失敗した時、失った時に、初めて大事なことに気付きます。そんな時には気持ちが凹むので、そこでもまた、その人の良さを気付かせてあげる言葉をかけます。すると、さらに信頼関係が増し、本人も反省をします。これが指導や育成のための何よりの良いチャンスになります。

◆さやかちゃんは元々地頭が良かっただけでは?
 そういう子が「人間のクズ」と言われて放置されているのが、現在、多くの学校で起こっている現状のようです。それに、どんな子どもでも、元々、地頭は良いのです。1200人以上の生徒を指導してきて感じるのは、「ほとんどの人間が、知能という面では、非常に僅差の中に存在している」ということです。落ちこぼれる子がいるのは、勉強のやり方を知らない、やる気をそがれている、といった要因に左右されているためです。そうした要因を改めてあげるだけで、偏差値は伸びます。

 著書の中には具体的なアドバイスも数多く掲載されている。それらの一部をここで抜粋しておく。

 普段歩くことができる幅30センチの鉄板の上も、地上200メートルでは歩けない。つまり失敗のイメージが強いと能力も記憶力も下がる。枕に顔をうずめ、目標・願望を大声で毎日叫ぶと、失敗のイメージを消しやすいのでオススメ。実際に試した生徒で高い効果がある。

 心の中で相手を抱きしめながら話すと、相手に好感を抱かれやすい。1000組以上の親子やビジネスパートナーに実践して、成功している心理学的手法。

 「何度言ったらわかるの?」というと、レッテルを貼られ暗示にかかるので、相手はますます理解できなくなる。塾で取った統計では500回は言わないとわからないので、苛立たないこと。

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