政府・自民党が、個人収入に課税する所得税について、納税額の上限を2億円にするなどの案が浮上していることがわかった。産経新聞によると、シンガポールや香港と比べ、富裕層や高所得者への課税政策で遅れを取っており、さらには、日本に国際金融センター構築の狙いに対しても所得税の高さが敬遠される理由だったこともある。そのため、課税を見直すことを、平成27年度の税制改正に盛り込む方針だという。
日本国内への投資を呼び込むにあたってのネックとなっていたものの一つに個人の所得税率があった。ここに、シンガポールや香港と比べて見劣りしていたが、国際金融センター構築をする上で、数億円という所得をもらう企業の幹部たちにとっても拠点を置きやすい環境を作るのが狙いだという。
ちなみに、現在の税率は次のようになっている。
◆日本の所得税率
所得額 税率
195万円以下 5%
195万~330万円以下 10%
330万~695万円以下 20%
695万~900万円以下 23%
900万~1800万円以下 33%
1800万円超 40%
◆シンガポールの所得税率
所得額 税率
2万Sドル 0%
中略
12万S~18万S 17%
20万S~32万S 18%
32万Sドル 20%
※非居住者は15%の一定税率
◆香港の所得税率
所得額 税率
以下略
8万H~12万H 12%
12万Hドル 17%
数字はJETRO、各課税庁より
数百億円の資産を持つ富裕層は「シンガポールや、香港よりも、お金さえあれば東京は世界一楽しい都市だと思うのですが」と語っていたことがある。
本来、日本は安全性や治安のレベルが高い上に、気候も環境も穏やかな上に、文化的な水準も高く過ごしやすい。「税率さえ改正すれば、日本に住みたいという米国の友人も何人かいたほどです」(同)という。税率が一つの要因であるならば、考え直す余地はある。
ちなみに、2012年の納税者で、2億円超の納税者数は全国で3762人(外国人居住者含め)。
5億円 2971人
10億円 528人
20億円 155人
50億円 74人
100億円 18人
100億円超 16人
また、英不動産会社ナイトフランクの調べによると、資産30億円以上の超富裕層の都市人口で、東京は現状ではシンガポール、香港に勝っているものの、10年後はシンガポールに逆転を許す予測となっている。
2013年 2023年
東京 3525人 3818人
シンガポール 3154人 4878人
香港 2560人 3502人
この案について、政府は広範な金持ち優遇政策にはならないと判断しているそうだ。3