26歳ブガッティに乗る「秒速のメール術」ペニー株詐欺をSECが提訴

 年収45億円の話術。これを駆使してウォール街で昇りつめたのが、映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の主人公ベルフォートだ。

 だが、今は電話勧誘が電子メールに代わって、「ペニーストック(株)詐欺」を働いたとされる26歳のジョン・バビキアン氏が、米証券取引委員会(SEC)によって、賠償金などを求めて提訴された。


ブガッティ・ヴェイロン
 ペニー株とは、1ドルに満たない価格の株式のことを言う。映画の中でベルフォートが販売していたのもペニー株で、最終的には投資詐欺とマネーロンダリングの疑いでFBIの捜査を受けるという話だ。

 バビキアン氏は、価格1億円以上の仏の世界最高速車ブガッティ・ヴェイロンに乗る猛者。ペニー株の買いを勧めるメールを大量に送信。そして、自身は空売りを行うという取引を行っていたという。

 ちなみに、かつてペニー株は驚異的に儲かったこともあった。過去には次のような上昇の例もある。※バビキアン氏の取引とは無関係。

Netegrity 2.18⇒73.20 3487%
Inhibitex 2.35⇒24.08 925%
Celstar   1.44⇒13.50 837%

 ファンダメンタルの裏付けはなく、株価はつり上げられて上がっていくという、投機的な色合いの強い取引だ。

 SECによると、バビキアン氏が行った取り引きにアメリカウエストがある。同社株は、2011年には1日あたり、平均で1万5400株の取引があった。しかし、2012年2月23日にメールを送ってからは、90分間で780万株に出来高が膨らんだという。

 送信した電子メールの数は70万通以上というおびただしいものだ。バビキアン氏のメール以降に、アエリカウエスト株の株価が29セントから1.80ドルと6倍以上になっている。そこで、130万株を190万ドルで売却しているという。

 SECは財産の差し押さえを行うために、26歳でカナダなど複数の国籍を持つ、この「ストックプッシャー」の行方を捜している。

 現在、バビキアン氏のサイトは、サービス終了のメッセージを告げている。

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