中央競馬のG1レース桜花賞で、ハープスターが優勝したが、この時点ですでに馬主としての投資額に対して約6倍となり、また、2着だったレッドリヴェールは約10倍となっている。1、2着はクラブ所属馬だった。いわゆる一口馬主の馬だ。
JRA(日本中央競馬会)の馬主資格の要件が昨年から緩和されているが、純資産額7500万円以上、過去2年間の年収実績が1700万円以上とハードルは高い。ただ、馬主が減少していることもあり、裾野であるクラブ馬主に良い馬がたくさん出てくるようにもなっているということだ。ちょっとした投資リターンとなっている。
歴代のクラブ馬主の馬を見てみる。
◆クラブ馬歴代獲得賞金ランキング
1 オルフェーヴル 16億4758万円
2 ブエナビスタ 15億8420万円
3 ジェンティルドンナ 14億3700万円
4 ヴァーミリオン 11億6860万円
5 タップダンスシチー 10億8442万円
6 エスポワールシチー 10億2292万円
7 ステイゴールド 9億8965万円
8 タイムパラドックス 9億7786万円
9 ブルーコンコルド 9億7530万円
10 ハーツクライ 8億7414万円
※海外賞金は現在のレートによって算出
獲得賞金は日本で13億4408万円、海外で215万9880ユーロ(約3億350万円)。それに対して、募集価格6000万円(40口、1口150万円)だった。
獲得賞金は1口保有で、4118万円となる(控除、経費などを考慮せず)。
最近でもクラブ馬主の中からでも多くの活躍馬が出ていることがわかる。現在は競馬人気が下火でもあるが、かつてはクラブ馬主もメディアで騒がれたこともあった。
97年から99年まで活躍したタイキシャトル(父デヴィルズバッグ、母ウエルシュマフィン)だ。12戦10勝で、獲得賞金は6億1548万円、100万フラン(現ユーロ)。募集価格5000万円(100口、1口50万円)だったが、1口あたり換算で700万円以上の賞金を獲得した。
ただ、最近の活躍馬は、タイキシャトルをはるかに凌ぐ賞金を獲得している。というのも、賞金額が上昇していることと、オルフェーブルやジェンティルドンナのように、賞金の高い芝2400メートルの距離体系のレースで活躍する馬が多いためでもある。
また、社台系のクラブ馬主が上位を占めているのも特徴だ。ランキングは5、6位のシチー勢、9位ブルーコンコルドもいる。元々、社台系は馬の質が高いために、他の馬主クラブよりも募集価格が高く設定している。というのもそもそもが、順番待ちをしている馬主予備軍でもある人向けでもあり、高年収のサラリーマン向きでもあるからだ。
ただ、桜花賞を勝ったハープスターは、社台系牧場の生産馬ではあるが、納入先の一つであるキャロットクラブの馬。ここは社台系よりも小口で提供されている。レッドリヴェールも東京サラブレッドクラブの馬だ。ただ、難点を挙げるなら、社台以外のクラブから選ぶ場合は選択肢が広くなり、馬選びが難しくなる。現状では、母系の血統がソコソコ良く、父がディープインパクトの産駒を選んでおけば安全かもしれない。そして、上位はすべて関西入厩馬であることを忘れずに。
◆ハープスター(父ディープインパクト、母ヒストリックスター)
戦績:5戦4勝2着1回
獲得賞金:2億2068万円
募集価格4000万円、400口、1口10万円
◆レッドリヴェール(父ステイゴールド、母ディソサード)
戦績:4戦3勝2着1回
獲得賞金:1億5210万円
募集価格1600万円、400口、1口4万円
すでに大きく投資元本を上回っている両馬。消費税も増税となり家計管理上で節約をしたいところだが、クラブ馬主も現在は、ちょっと捨てがたい存在となっている。