中国国内では、不動産の調整政策の影響から、海外に投資の場を求める富豪が増えている。特に最近注目を集めているのは、スペインだという。
米国の大手不動産会社コリアーズ・インターナショナルの調べでは、中国人の海外不動産投資額は、2008年には約6900万ドル(約70億円)だったのに対し、2013年には約160億ドル(約1兆6000億円)に達し、大幅に上昇した。
この背景には、海外投資の収益率が高い事、海外の投資コストが低く、人民元高が続いている事、企業から個人まで投資の多様化が進んでいることなどがある。コリアーズは、人民元高が今後も進み、不動産の収益需要が増え続ければ、2014年には投資額は倍増すると見ている。
近年、中国人投資家に人気の国と言えば、カナダ、アメリカ、イギリス、フランスなどの欧米諸国だった。その中で、これまで陰に隠れていたスペインが、新たな人気国となっている。
昨年、米誌「フォーブス」の中国富豪ランキングで1位となった万達集団の王健林(Wang jian lin)氏は、マドリードのビルを2.6億ユーロ(約360億円)で購入した。
バブル崩壊後、スペインの不動産価格は史上最低にまで下がっている上に、不動産に投資した際は、長期滞在許可が出されるなど、現地の銀行や政府から最大の優遇政策が受けられるのだという。現在、外国人投資家のうち、4%を占めているという中国人投資家の強烈な投資欲が、スペインの不動産市場を動かしつつあるのだろうか。