ドル&ガバ脱税で高裁が1年6月の有罪判決

 伊高級ブランドのドルチェ&ガッバーナのデザイナー、ドメニコ・ドルチェ、ステファノ・ガッバーナの両被告が脱税の罪に問われた罪の控訴審が30日、ミラノ高裁で開かれ、執行猶予付きで懲役1年6月の有罪判決が言い渡された。2人は上告の方針だが、覆る可能性はなさそうだ。ジョルジオ・アルマーニ、プラダをはじめ、イタリアでは高級ブランドが軒並み脱税でやられるなど、知財管理、原材料調達などを税率の低い国に移転する手法が、つぶされていく格好だ。

 現地の報道によると、昨年6月の一審判決は執行猶予付き1年8カ月の有罪判決で、ミラノ高裁はドルチェ&ガッバーナの2人に対して、執行猶予付き懲役1年6カ月の有罪判決を言い渡した。

 ドル&ガバは1985年に創業し、90年代に入りメトロポリタングラマーのコンセプトで都市部の女性を中心にファンを集め、マドンナさんをはじめ数多くのセレブが愛用するまでになった。

 実はこの刑事事件は、いったんは罰金で終わる見通しだったものの、最高裁が審理を行うようを命じて、地裁からやり直した経緯がある。というのも、故意で悪質であると判断されたからだ。

 近年よく使われる手法にパテントボックスと言われるものがあるが、これは知財管理権では、ルクセンブルクの税率は5.76%と先進国中ではかなり低くなっている。オランダも5.0%と低いが、通常は10%以上の国が多く、最近かなり広まっていた。

 ドル&ガバが設立した会社は有限責任会社の「Gado S.à r.l.」(ガド)。ルクセンブルクの登記簿によると、2004年4月13日に設立され、08年4月15日の閉鎖に至るまで約4年間にわたって存在していた。また、所在地は首都ルクセンブルク郊外にある巨大な物流倉庫のようなものと見られるの施設内に置かれている。

 そのガドが設立された、2004年の会計年度から会計を大幅に改善し売上を減らしたり、税金に関する公文書にも虚偽の記入を行うなど組織的な脱税工作を行っていたとされる。地元紙によれば、本来は13億4000万ドルとするところを、3分の1の5億ドル以下として届け出ている記述もあったそうだ。
 


ドルチェ&ガッバーナ
 高級ブランドはそもそも、グローバル企業であり、アマゾン、アップル、グーグルなどと同じように捉える必要がある。ジョルジオ・アルマーニも和解金で解決しているが、パテントボックスや原材料費の処理やデザイン工房などの処理を指摘されていた。

 また、肖像権管理の会社を使い課税逃れをしていたとして、スペインの税務当局に解決金を支払うことで和解した、サッカーのリオネル・メッシ選手は、ドル&ガバのモデルもしており、同じようなスキームは蔓延していることがわかる。

 2人は上告する方針だという。しかし、最高裁は罰金刑を差し戻して、わざわざ下級審から再審理させていることもあり、上告は棄却か。


アマゾンのルクセンブルクのパテントボックスを使った 節税スキーム「税大ジャーナル」(2013年5月)より

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