競馬の当たり馬券によって3年間で30億円以上の収益を得た大阪の元会社員男性の控訴審が9日、大阪高裁で判決が言い渡される。5億7000万円を脱税したと大阪国税局から指摘を受けており、28億円以上購入したはずれ馬券の存在を経費と認めるかどうか、あるいは、一時所得か、継続的な所得かなど結果に注目が集まる。
一審の大阪地裁判決では、求刑1年に対して、懲役2月、執行猶予2年が言い渡されている。懲役2月という結果から見ても、わざわざ起訴するなという意図が少し感じられさえする。と同時に、脱税額を5000万円に減額しており、事実上は経費性を容認しており、ある意味で投資と言い換えることもできる。
また、実際の利益以上の徴税を課せられるという点でも、個人の納税能力をはるかに超えており、道義的な面からも批判は出ていた。
ただ、国税庁は一時所得という見解を崩すつもりはない。
別件で、北海道の公務員男性が、6年間で競馬の所得約4億円以上の申告漏れを指摘されている。この件では、一昨年に国税不服審判所に申し立てがなされ、すでに「いずれも適法」との採決が下っている。
税務当局の主張では「その行為は、払戻金を得られるか否か分からない不確実な行為であるのみならず、競走ごとに独立した行為である」としている。つまり、所得源泉の有無は継続性、恒常性があるか否かが判断基準だという。それを不確実な競馬というものを認めるわけにはいかないというものだ。もっと言えば、投資かバクチかという解釈でもある。
大阪の男性のケースだが、はずれ馬券の経費算入額についての見解は次のように大幅に異なる。
◆男性の主張する年間の購入金額
17年 9900万円
18年 5億3800万円
19年 6億6700万円
20年 14億2000万円
21年 7億8400万円
◆大阪国税局の購入金額(経費)試算
17年 600万円
18年 1800万円
19年 3200万円
20年 6500万円
21年 3100万円
ちなみに大阪の男性の代理人の事務所サイトには「競馬等の公営ギャンブルで高額配当を得られた方へのお知らせ」という記述がある。馬券に掛る税金の相談を掲げている法律事務所は異例だが、注目を集め始めたということでもある。
その記述は「競馬のWIN5などで高額配当を得られた方には、多額の所得税が課せられる可能性があります。 特にPAT取引などによって、銀行口座を利用して配当金を得ている場合は証拠が残っていますので、何らかのきっかけで税務当局によって所得を把握される可能性があり、現にそのようなケースは複数あります」などというものだ。
結果に多くの視線が注がれる。