超富裕層の資産移転総額1600兆円、米GDPに匹敵(30年後)

中東で人気が高い第2市民権

 第2市民権のニーズが最も高いのは、実は中東である。保有者の割合が高いのは、パキスタン、レバノン、エジプト、シリアが上位4カ国となった。元々、政情が不安定であり、政権いかん、あるいは治安状況によっては富の収奪が行われるなど、富の保全を視野に入れている。

 一方で、5位の米国はスイス、シンガポール、ドバイなどが人気があり、6位のロシアはキプロスが人気が高い。

◆第2市民権を持つ割合
1 パキスタン 17%
2 レバノン  15%
3 エジプト  7%
4 シリア   7%
5 米国    7%
6 ロシア   6%

 ちなみに、昨年財政危機が起きたキプロスだが、全人口の1割がロシア人とも言われるほど。第2市民権プログラムは次のようになっている。不動産70万ドルを購入、その上で以下から1つを選ぶ。
・70万ドルの債券(科学技術振興の目的)購入
・700万ドルで、企業、不動産、金融資産などいずれかに投資
・700万ドルを、3年間キプロスの銀行に預ける


 だが、銀行口座が凍結になるなど、第2市民権が盤石かとも言いきることができないという点を示した先例でもある。また、経済要因以外でも、バヌアツのように大地震が発生するなど自然災害リスクもある。

 そうした点から考えても、英国、米国は税率が高いものの、ビザの人気は相変わらず高い。ロンドン、NYの不動産価格上昇が続いているのは、こうしたことも要因であり、政情の安定、教育水準のレベルの高さで今後も人気で有り続けるだろう。

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