上場企業の中に株主還元として、配当増額や自社株買いを行う企業が増えてきている。特に自社株買いは地味ながらも需給が改善し、株価を、1株あたりの利益率も向上するため、株主還元策はそれなりに好感を持たれることも多い。
大手スーパーのイズミは2011年7月から13年10月までに7回も自社株買いを行うなど、約4分の1も株数を減少させている企業もある。週刊ダイヤモンド5月31日号のまとめでは、次のようになっている。
◆自社株会実施企業の株式減少率ランキング
1 イズミ 24.6%
2 フクダ電子 19.2%
3 TBSHD 14.8%
4 伊藤ハム 11.1%
5 コムシスHD 9.4%
6 共立メンテナンス 9.2%
7 エコス 6.1%
8 キヤノンマーケティング 5.5%
9 イエローハット 5.3%
10 富士通ゼネラル 4.0%
※直近売上高1000億円以上の企業
イズミは広島に本社を置き、山陽地方を中心に九州、四国でも展開するスーパー。1株あたり利益は2012年2月期の123.74円から、2014年2月期には236.55円とほぼ2倍に。また、1株あたり純資産も1388.45円から1672.92円となり、株価も当時とは約3倍になっている。
3位のTBSはかつて買収目的で保有されていた楽天から株を買い取ったことによるもの。
自社株買いはいくつかの法改正があり、取締役会の承認のみで実施が可能となった。
また、目的も株式の消却やストックオプションなどの縛りがあったが、目的を限定する
こともなくなった。もちろん、自社株買いを発表して、「やらず」ということもあり、
どのくらいの進捗状況かを、その後も見ていく必要はある。
ただし、その一方で、本来は事業拡張や配当可能な内部留保で自社株買いを行うということは、ある種の矛盾を内包してもいることにもなる。
そのため、企業が自社の株価を対外的に「割安水準である」というアナウンスを行っている、という解釈もできる。だから、買いを誘発するという効果もあるようだ。