安愚楽牧場幹部「自分では投資せず」

 経営破たんした「安愚楽牧場」で、特定商品預託法違反の罪に問われた元社長の三ケ尻久美子被告(69)と元役員の大石勝也被告(74)の控訴審の第2回公判が26日、東京高裁で行われた。三ケ尻被告が新たにオーナー120人以上と示談を行ったおり、その条件は被害額の3割程度であることを明らかにした。また、大石被告は、自身で安愚楽牧場への投資をしておらず、親族や知人にも勧めていなかったこともわかった。

 被告代理人によると、かつて三ケ尻被告の夫が事業の失敗で手放した土地を長男が買い戻し、その土地を担保に約4000万円の借り入れを行ったという。そして、120件以上のオーナーとの間で示談が締結されたという。示談金は被害額の3割程度だという。

 また、今後も10人以上のオーナーとの示談交渉を進めていきたい意向を明らかにしたものの、転居先が不明の人も多いために、連絡がつかないなど示談交渉は今後は難航する見通しだ。

 大石被告については、検察側から「あなたはオーナーになっていないのか。知人には勧めていないのか」との質問に対して「はい。(知人にも)勧めていません」と証言し、オーナーたちが多く陣取る傍聴席からはどよめきが起きていた。

 一審判決で三ケ尻被告は懲役2年10月、大石被告は同2年4月を言い渡されている。2人は控訴理由に、厚生労働省が平成19年に定めたガイドラインによって、繁殖牛を処分しなければならなくなったことが破綻の理由になったことを挙げた。

 しかし、井上弘通裁判長は、犯罪行為は22、23年だとし、ガイドライン制定は19年のことであり、関係性がないのではないかとの認識を示した。

 安愚楽牧場は、和牛預託商法と呼ばれ、和牛オーナーになろうと出資者(オーナー)を募り、これまでに累計で4300億円以上を集めた。オーナーはのべ7万人以上、1人あたり平均574万円の出資だった。1億円以上の出資者も135人もいた。

 判決は10月16日。

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