夫は新聞配達で家計を支える
正美容疑者は埼玉県川口市の恵まれない家庭の出身だが、中学時代から新聞配達をしながら家計を支えてきたことはよく知られている。また、慶應大学卒だが奨学金によって進学しているという苦労人でもある。
そこが、これまでの堀江貴文氏らIT長者たちと違うアイデンティティーを育んだのだろう。TVキー局5局と新会社「テモ」を設立するなど、保守的で古い体質のマスコミ業界にも受け入れられたほどだった。前出の営業幹部は「堅実で誠実な感じがする方」と評価しており、そうした人柄と勢いを持って資金調達、買収を繰り返していった。
最盛期には、買収企業は100社以上に上った。2005年、映画製作の老舗「日活」の買収など華々しい時代もあったが、その後の資金繰りの苦しさから09年に日本テレビなどに売却している。
手を広げた買収先が思うような成果が出ず、株高に乗った買収は、2人の逮捕という形で終結した。