世界最大のIT企業の前トップにして、米プロバスケットボールのLAクリッパーズを史上最高額の20億ドルで買収(未承認)したスティーブ・バルマー氏。「無能」呼ばわりされたトップ時代に富193億ドル(約1兆9800億円)を築き、さらには一線を退いても、米国人の夢でもあるNBAチームのオーナーに。ビル・ゲイツ氏の大学の同級生という「コネ」でのし上がったのは事実だが、そのコネの大切さを誰よりもよく知るのが富裕層でもある。
スティーブ・バルマー氏(2013年のMSでのスピーチより)
ビル・ゲイツ氏からバトンを受けて、2001年1月にMSのCEOに就任し2014年2月に退任するまでの14年の長きに渡ってトップで居座り続けた。2012年に米経済誌フォーブスが発表した、「とっくに辞めていなければならないCEO」ランキングなるもので、1位に輝いている。恵まれた経営資源を、モバイルなどの伸長分野に振り分けることができずに、収益チャンスを棒に振ったなどと散々な批評がなされている。
また、とっくに投資家たちからも見放されていたが、米著名ヘッジファンドマンージャーのデビッド・アインホーン氏が、2011年に公に「やめろ」と要求した際には、株価が上がるという皮肉な出来事まで起きたほどだ。
ビル・ゲイツ氏と同じ学生寮に住み、卒業後はP&G、スタンフォード大MBAと進んだが請われて幹部として入社した。この時のMSの他の従業員にしてみれば、たまったものではないかもしれない。日本では、コネが批判されることがよくあるが、実際には、富裕層ほど人脈やコネの大切さをよく知っているのだ。