まずはエリート校に行け
米国の大富豪に詳しい事情通は「日本人が持つイメージと違い、米国は金とコネの社会です。有名学校には寄付者の体育館が建って、そのあとに子供が入学してきたり、ということも聞きます。また、中小企業だけでなく、大企業や有名校でもそれはあります。日本はまだまだフェアに感じるくらいです」と話す。
バルマー氏は父がユダヤ系移民で、大手自動車メーカーのマネージャーだった。別段富裕層というわけではなさそうだが、成績優秀だったバルマー氏はハーバード大に進み、ゲイツ氏と出会うという幸運に巡り合った。
たたき上げの富裕層がおく口にする成功要因の一つに、努力は当たり前のこととして、運と他人からの引き立てがある。運とコネを掴ませる意味でも、有名校の進学は大切なのである。おもしろいデータがあり、米デューク大の研究で、ビリオネアやパワーエリートたちの出身校を調べた結果、米国の男性ビリオネアの12.2%が、ハーバード大出身だった。実に10人に1人以上というハーバード率であった。
また、エリート校出身者は米国のビリオネアは44.8%、他の国のビリオネアは29.0%だった。学力は大切だが、それだけ人脈の大切さが認識されているということでもある。
ちなみに、日本のたたき上げの富裕層に人気があるのが「慶應幼稚舎」。特に大学から慶應デビューした人にとっては、肩身の狭い思い出があるようで、子供には幼いころからの生粋の塾員として慶應人脈を与えたがる。それは、人脈がなかった自身と同じ苦労をさせたくないという親心でもある。
バルマー氏がいかに優秀でハーバード大出身であっても、それだけでMSのCEOやクリッパーズのオーナーになれるわけではない。コネのおかげと言うほかないが、まさにコネも実力のうちだ。