金持ちかどうかで癌の種類が決まる?

 富裕層は、皮膚がんになりやすい?

 裕福な地域に住んでいるか、貧困地域に住んでいるかで、特定のがんの分布に少なからず影響を与えていることがわかった。ユタ大学のケビン・ヘンリー助教授らの研究班がこのたび医療雑誌に研究報告を行った。

 米医療サイトのウエブMDによると、結果として、富裕層か貧困かによって、がんの発症に影響があるかどうかは因果関係が薄いとしているが、発症するがんの種類には影響を与えるという。

 この調査は、国勢調査を基にして、2005年から2009年にがんの診断を受けた16州の300万人を4つのグループの分けて調べた。当時のがん患者人口の42%をカバーしているという。

 米国の場合は日本以上に、裕福さによる住宅地の区別がなされており、資産や収入のレベルは厳密に反映されていそうだ。


 最貧地区では、がんの発生率が豊かな地域に比べて特別に高いというわけではないが、がんによる死亡率は高いということがわかった。喫煙など貧困層の間で一般的に行われる悪癖、それらは危険因子だと考えられているが、経済的な要因で治療にお金をかけるかどうかという点も影響しているのかもしれない。

 一方で、富裕層が住む裕福な地域では、甲状腺がん、精巣がん、皮膚がんが多かったという。

 最近は「年収は『住むところ』で決まる」(エンリコ・モレッティ著、プレジデント社)には、沈む都市に住むかぎりスキルアップをしても無意味など新たな概念を世に問うているが、今後はヘルスケアの分野においても、住む地域による研究アプローチは注目したい分野だ。

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