スタンフォード大教授にして、グーグルの最初の株主の一人でもある大富豪デビッド・チェリトン氏(63)。6月6日にNY株式市場に新規株式上場したシステム開発会社アリスタネットワークスの共同創業者で大株主でもあるが、すでに離職して、同社を訴えていることが判明した。「自分で自分を訴えた」かのような奇妙な出来事の背景には何があるのか。
そのチェリントン氏が、共同でアリスタを創業したのがサンマイクロシステムズ創業者のアンディ・ベクトルズハイム氏だ。
ところが、SEC(米証券取引委員会)に提出した資料で新たなことが判明したのだ。チェリトン氏はいまだに時価にして1300万ドル以上のアリスタ株を保有する大株主ではあるが、同社を上場直前の3月に離れているのだ。
そして、4月4日にカリフォルニア州の裁判所に提訴が行われている。訴状によれば、ソフト会社オプタムソフト(チェリトン氏が創業者)が、「TACC」というソフトウェアの権利を保有し、その使用をアリスタ社に許可した。だが、アリスタが契約を正当に履行しなかったなどとして、このシステムの差し止めなどを求めているのだ。
実は、この2社はかつては同じ軒下のオフィスで仕事をしていたこともある、仲の良い企業であったという。そもそも、2社ともチェリントン氏が大株主なのだから、兄弟会社と言ってもいいくらいだ。
そう考えれば、まるで自分で自分に対して訴訟を仕掛けるような不可解な訴訟だ。訴状などからは見えて来ない感情的なものがあるのか、現段階ではまったく不明だ。
1998年に2人の学生に10万ドルの小切手を切ってやった男気あふれる教授。それが現在のインターネット界の巨人となったグーグルの礎にもなった。
チェリトン氏は、かつてフォーブス誌のインタビューに「人類の生活に有益な改善をもたらすことにフォーカスすることだ」と、投資の極意を語っている。また、創業時のサンマイクロシステムズにも投資を行っており、スタートアップ企業を見極める目を持っている。
不可解な訴訟はどう決着するのだろうか。