日本でもおなじみTCI創業者が1000億円離婚訴訟でピンチに

 JT、Jパワーなどの大株主として日本でもよく知られる英ヘッジファンド「ザ・チルドレン・インベストメン(TCI)」創業者のクリス・ホーン氏(49)が離婚で揺れている。現在、英国で控訴審が行われており、英国離婚史上最大となる1000億円以上の解決金となる可能性が出てきた。アクティビスト投資家が、妻の主張に押されっぱなしで、図らずも「小ささ」を露呈されてしまった。

 英インディペンデントによると、先日行われた控訴審の尋問で、クリス・ホーン氏は自身の資産は6700万ポンド(約111億円)と主張。しかし、妻のクーパー・ホーン氏(49)は17億2000万ポンド(約3000億円)と主張し、真っ向から対立しているというのだ。ただ、見通しはその約3000億円のほとんどが結婚後に作られて資産であるために、ほぼ半分の取り分が認められる可能性が高いだろう。


クーパー・ホーン氏
 ちなみに、ホーン氏の資産はフォーブスによると、11億ドル(約1100億円)である。法廷でかなり過少に証言していることになる。

 2人はハーバード大在学中に出会い結婚し、三つ子を含む4人の子供もいる。2003年にTCIを創業し、ファンドの投資動向は注目を集めてきた。

 そして、ファンドの運用資金の一部をザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド財団(CIFF)に寄付することを行っている。自身の父親が貧しい移民労働者だったルーツもあり、慈善事業への思いも強かったと思われる。

 大富豪は基本、表に出していない資産もあるために、フォーブスの試算額よりも多くなりがちだが、法廷での証言が図らずも「小ささ」を露呈してしまった。金額面での主張が大きく異なっているが、111億円という証言はあまりにも小さいことは言うまでもない。英国最大の離婚解決金になる可能性が十分にある。

 ヘッジファンド業界では最近、業界の盟主でもある、デビッド・テッパー氏が妻とすでに別居しており離婚が近いと報道されてもいる。

 以下にヘッジファンド業界の離婚訴訟、さらには離婚の解決金ランキングを参考までに掲載しておく。

 ◆ダニエル・シャック&ベス・シャック夫妻
運用者とプロポーカープレイヤーという珍しい取り合わせ。総額100万ドル以上とも言われる妻のシューズコレクション1200足が裁判での争点に。夫は35%程度は自分のモノであると主張したが、クツを買いそろえた理由を妻が「あなたの愛が欲しかっただけ」と証言し、夫は訴えを取り下げた。

 ◆マーティン・カウアード&エレナ・アンブローシャドウ
 著名FXファンド「IKOS」の創業カップル。夫がバカンス中に、妻が解雇して争いが表面化する。投資プログラムはどちらの所有となるかが法廷で争われたが、妻側の主張が認められた。妻に雇われた女スパイが暗躍したそうだ。

 ◆スティーブ・コーエン&パトリシア
 米トップファンドの一角であるSACキャピタル・マネジメントの創業者。しかし、家庭では手をあげることもしばしばで離婚。しかし、その後は、インサイダー取引を妻がタレこんだ。SECによりインサイダー取引が立件され、和解金としては過去最高額の580億円をSECに支払うハメに。

 ◆ジョージ・ソロス
 離婚訴訟ではないが、痴話げんかが続く。日系トミコ・ボルトンさんと昨年3度目、42歳差の結婚を果たしたが、ブラジル出身の美人令嬢との訴訟が続いている。女性に190万ドルのマンションのプレゼントを約束したが、名義は別の女性の名前になっていた。また、暴力を振るわれてけがをしたとの主張で、5000万ドルの損害賠償を求められている。ただ、ソロス氏側も反訴し訴訟合戦に。

 ◆離婚解決金ランキング
1 ドミトリー・リボロフレフ&エレナ  45億ドル

2 ルパート・マードック&アンナ    17億ドル

3 バーニー・エクレストン&スラビカ  12億ドル

4 アドナン・カショギ&ソラヤ     8.7億ドル

5 スティーブ・ウィン&エレーン    7.4億ドル

6 クレイグ・マッコー&ウエンディ   4.6億ドル

7 メル・ギブソン&ロビン       4.2億ドル

8 ロバート・ジョンソン&シェイラ   4.0億ドル

9 アーノルド・シュワルツエネッガー&マリア 3.7億ドル

10 ローマン・アブラモビッチ&イリナ  3億ドル
※敬称略

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