「ふるさと納税制度」について、税額控除の上限額が住民税の約1割であるところを、2割に引き上げることを検討するという案を菅義偉官房長官が明かした。また、ソフトバンクがふるさと納税代行会社の設立を打ち出すなど、今後さらに拡大に向けた動きが加速している。元々、この制度は年収1800万円以上の高額所得者は2割認められる有利な税制となっており、さらにその拡大もあるのかどうか期待もかかる。
各紙報道によると、菅長官が兵庫県内で報道陣に語ったもので、税額控除の上限額を2割にすることや、納税事務手続きの簡素化するなどの方法を検討するという。準備室も設置して省庁横断的に検討をするなど、話の具体的な進展も示唆している。
ふるさと納税とはそもそも、税収の減少に悩む自治体に対しての格差是正を行うために施行されたもの。2008年から始まり、2000円を超える部分について、個人住民税所得割の1割を上限として、所得税と合わせて控除される。
目安として、年収別で全額控除となる寄付金の上限額は次の通りになる。
年収600万円 8万7000円
年収800万円 12万1000円
年収1000万円 17万7000円
年収2000万円 40万2000円
年収1億円 200万2000円
※家族構成などによっても異なるため、あくまでも目安額
※徳島県ホームページより
現在は、各市町村ともに地域の特産品などを制度利用者に贈呈している。しかも、納税額以上に品物を贈呈する自治体も多い。全額控除の上限が、単純に年収600万円では8万円7000円だが、年収1億円では約200万円で、住民税を約1000万円とすれば、その2割
が認められていることになる。その点で、特産品をもらえた上に控除されるために(いわゆるタダメシ状態)、有利である。
高所得者の上限額がどのようになるのか、今後の推移を見ていく必要がある。
総務省によると、東日本大震災が起きた2011年には約74万人、寄付総額は649億円に上った。利用者は前年の20倍以上に上り、被災した東北の自治体のために実際に多く利用されたという。現在でも10万人以上が利用しており、拡大傾向にある。