1カ月で株価2万5000%「CYNK」に2人の謎の男の影

 いま最も注目を集めるIT企業はどこか? アップルか、ゴープロか、そうではなく、それはフルタイム従業員0人の会社だった。米国株式市場で株価がたったの1カ月間で2万5000%の上昇となったCYNK・テクノロジーズだ。怪しい取引に、SEC(米証券取引委員会)が一時取引を停止する騒動になった。


CYNKが運営するINTROBIZ
 つい1カ月ほど前までは、株価は1株あたり1ドルにも満たない、いわゆるペニーストック状態だった。日本でいうところのボロ株だが、今年6月に入ってから出来高が急激に増加し、株価も急騰し、7月10日の場中に高値21.95ドルをつけたのだ。

 それにともなって同社の時価総額は約60億ドルという、会社規模からすればとんでもないものになった。

 同社は社員なしで、代表者はマーロン・サンチェス氏。2008年5月にネバダ州にジョン・クーバー氏が設立した、ウエブマーケティング会社。セレブとファンをつなぐサービスを提供するイントロビズというサイトを運営している。だが、肝心の売上は存在しない。資産もない。負債は150万ドルとなっている。

 現在の代表者であるサンチェス氏だが、ただの雇われ社長のようでもある。実は株式を手放しており、ハビエル・ロメロ氏、ハワード・マーコビッツ氏が所有していることが、OTCマーケッツのサイト上で明らかにされている。

 ロメロ氏は中南米のベリーズにオフィスを置いている。マーコビッツはわからなかった。何者かによる株価のつり上げが目的なのか何なのか、もちろん、意図は謎のままである。

 とりあえず7月24日まで市場の取引は停止となるが、それもやむなしだろう。

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