米大手ヘッジファンド「課税逃れが目的ではない」上院公聴会

 米大手ヘッジファンド運用会社ルネサンス・テクノロジーズなどが、オプション取引で14年間に60億ドル(約6000億円)の課税を免れていたと指摘されていた問題で、22日開かれた米上院常設調査小委員会の公聴会に、同社の幹部、英バークレイズ銀行、ドイツ銀行の幹部たちが証人として出席した。

 カール・レビン委員長は、前日にバスケットオプションを使った租税回避策の公表結果を明らかにしており、2行がルネサンスの租税回避をほう助したと指摘し当局に対して規制を強めるように求めていた。

 この日の公聴会では、ルネサンスからは共同CEOのピーター・ブラウン氏ら3人が出席。バークレイズから2人、ドイツから2人がそれぞれ出席した。

 ルネサンスによると、「ドイツ銀行は1990年代後半に、同社のメダリオンファンドにバリアオプションの取引を提案。これは税制上の優遇措置を受けようということが主目的ではなく、バリアオプションはノンリコースで、ハイレバレッジをかけることができるという提案。このレバレッジ自体は法的に適切であった」という。

 その後、カウンターパーティーリスクを回避するために、バークレイズでも口座を開設したという。

 バリアオプションの主な利点は、ハイレバレッジでの取引で発生する損失の保護である。バリアオプションとは、特殊条件が付帯するエキゾチックオプションのひとつで、一定価格に達すると有効または無効となるオプション取引のことをいう。

 下値リスクは限定されていたことになるが、それについては「市場は時に人類に試練を課す。1998年のロングターム・キャピタルの例、2008年のリーマンショックの例などがある。メダリオンのリスクは、最初に支払う保険料に限定されていた」としている。

 課税逃れについては、「外部アドバイザーとも相談し、税務上の取り扱いについては現行法の下で適正に行ってきた」としている。

 また、同委員会も、これらの行為自体が、脱税などの違法性を認定しているものではなく、一般の投資家や国民との間での不公平感、さらには、ハイレバレッジによる取引失敗による金融不安の誘発などが主な主張だったようだ。

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