カルパースがヘッジファンド投資4割減を決断か

 全米で最大級の年金基金であるカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)が、ヘッジファンド投資の規模を40%減させる計画であることが米WSJの報道でわかった。同基金はヘッジファンドに50億ドル強の資産を配分しているが、減額後に30億ドル程度になる見通しだという。コストとリターンのバランスを考慮した、年金基金の厳しい目に晒されている。

 2000年以降になって各州の年金基金はヘッジファンドへの投資額を徐々に増やしていくようになってきた。全体の8%程度をヘッジファンドを組み入れるところも出てくるなど、運用リターン拡大とリスクヘッジを行うための戦略的な選択として広がっていった。

 カルパースの場合も同様に、長期的なリターンの向上と分散投資によって、年金債務のリスクヘッジするというのが当初の戦略だった。同基金の内規は厳しく、少なくとも3年に一度は投資方針の見直しを行うものとしている(ただし、2億ドル以上の案件は投資委員会が決定する)。レバレッジの比率、月次最大ドローダウンなどについても内規が厳しく決まっており、それには耐えることができなかったようだ。

 カルパースが、2012年10月時点で保有する主なヘッジファンドは次のとおり。

◆ブラック・リバー・フィックスドインカム・リラティブバリュー
◆チャンスハム・ユーリカファンド
◆ブルー・トレンドファンド
◆OZユーリカファンド
◆シンフォニー・ユーリカファンド

 ちなみに、全米でヘッジファンド組み入れ額が最も大きいと見られる基金は、ペンシルベニア州公立学校教職員年金基金(PSERS)。全資産530億ドル中の60億ドル以上で、全体の1割以上を占めているところもある。

 カルパースの運用総資産額は、3019億ドル。ヘッジファンドはそのうちの2%に満たない額でもある。

 伝統的資産が総崩れした時などリスクヘッジとしてのヘッジファンドは魅力的と見られていたが、ただ、年間手数料2~3%、成功報酬20%前後を支払うコストに比べてリターンは限定的に終わったことで決断をしたようだ。

 WSJが紹介した、コンサルティング会社ウィルシャー・トラスト・ユニバース・コンパリソン・サービスの調査結果によると、運用資産10億ドル以上の公的年金基金の運用成績で、3月までの3年間の公的年金基金によるヘッジファンド投資の平均収益率は3.6%で、PEの収益率10.9%、株10.6%、債券5.7%を下回っていた。

 カルパースの発表によると、2013年度の成績は平均18.4%。公開株式だけのリターンでも24.8%で、ベンチマークを0.5%上回ったとしている。また、年金基金のベンチマークも1.6%上回った。


カルパースのアセットアロケーション

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