昭和の経済人・小佐野賢治氏の総資産は一時10兆円を超えるとも言われた。しかし、実は資産をほとんど持たなかった。それは、国際興業にほぼすべての資産を入れていたからだが、相続、サーベラスによる再生時代を経てもまだ莫大なものがある。その小佐野一族の国際興業ホールディングスの株式をめぐって、一族が身内を相手に損害賠償額110億円を求める訴訟が東京地裁になされている。印紙代だけでも1700万円に上る異例のもので、まさに相続が争続になっている。
敵は身内に
サーベラスの管理下にいた国際興業ホールディングスも、「ハゲタカ」の撤退によって完全な自由を得たかのように見えた。しかし、一難去ってまた一難、実際の敵は身内にもいたのだった。すでに再建のために資産などは随分と剥がされている一大企業帝国だが、まだそれでも同社株式をめぐって110億円という争いが行われるほどだ。
まず、問題となる国際興業HD株の移動が始まる前の原告側の持ち株と、被告側の持ち株を整理しておく。
◆原告側(持ち株数、一族内持ち株比率)平成16年3月時点
敏子 372万4600株 27.54%
千砂 55万6000株 4.12%
匠 72万3200株 5.35%
弾 72万3200株 5.35%
◆被告側(同)
隆正 523万6000株 38.77%
※敬称略
この原告の株式が後にすべて、被告の株式に変わるのである(被告は小佐野隆正氏と、国際興業HDの2者)。