100%減資、無償譲渡を要求
訴状によると、国際興業HDは平成16年3月の決算で、約3800億円の有利子負債を抱えており、利息のみで年間約76億円の支払い義務が生じていた。被告となった国際興業HDの代表者である隆正氏は同年、当時のUFJ銀行から資産分割・会社解体の提案を受けており、猶予のない状態であった。
会社再建のためにすぐにサーベラスとの交渉をスタートさせ、再建支援の合意書を締結するにいたった。その後、敏子氏ら4人に対して、100%減資もしくは、無償譲渡に応じなければ、サーベラスの支援を受けることができない上に、先代の政邦氏時代の保証債務も相続人になされると告げて、応じさせたという。
かつて国際興業の虎の子の資産だった帝国ホテル
国際興業HDが持つ帝国ホテルの株式、富士屋八重洲ホテルなど虎の子の資産は後に売却され、その売却益は同社株をサーベラスから買い戻す際の原資となった。国際興業HDはサーベラスに対して、平成21年には、527億円の損害賠償を求めて訴訟を起こすなど、決して良好な関係ではなかった。それでもそこはお金で解決できる関係であり、お互いの利益を得たようだ。
結果として、隆正氏は低い価格で再出資することによって、国際興業の株式取得を行い、利益を独占したと、敏子氏らは主張する。本来得ることができるはずだった資産を請求している。ちなみに、隆正氏は配当金だけでも約227億円を得ているという。