テニス全英女王がモナコ在住で母国から「非国民」扱い

 テニスの全英選手権ウィンブルドンで2度目の優勝を果たした、チェコ共和国出身のペトラ・クビトバ選手(24)がモナコ居住のため、祖国から批判の声に晒されている。メディアの連日の報道、さらには脅迫事件も発生する騒動になったが、ミロシュ・ゼマン大統領が「あなたをこれからもサポートする」と火消しを行い、ようやく沈静化。富裕層に対する納税言論争はどこの国も同じようだ。

 ウィンブルドンの優勝賞金は男女ともに290万ドル(約3億円)。


ペトラ・クビトバ選手
 JETROによれば、チェコ共和国の個人所得税は一律15%のフラットタックス。ただし、所得額が平均賃金の4倍を上回るようであれば、通常の所得税に加えて、所得税と平均賃金4倍との差額の7%の連帯税課税が義務付けられる。また、PWCによると、連続する12カ月で、183日未満の滞在である場合は所得税の義務は免れる。

 クビトバ選手の年収はわからないものの、今回の優勝賞金だけでも、おそらく平均の4倍以上になるのではなかろうか。ただ、モナコ在住なのである。チェコに所得税は入らない。それが、国内で大論争を巻き起こしたのだ。

 最近は、合法的な課税逃れに対しても、政治家は声をあげる傾向にある。例えば、米国のアップルやグーグル、また、ヘッジファンド大手ルネサンス・テクノロジーズ、
日本でもアマゾンに対して声が上がったこともあった。

 チェコでは今回の優勝で「税金の支払いを逃れるために国を離れる人は、国籍を取り消すべきだ」と、まるで非国民扱いのような厳しい意見も飛んだ。地元紙では連日、こうした話題が報道されていた。

 ゼマン大統領は「人々があなたに対して嫉妬心を向けても、わたしはあなたをこれからもサポートします」と表明している。

 とりあえず論争は一旦は止みそうだが、これからも世界のどこかでこうした論争は出てくるだろう。

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