高級コンドミニアムに「低所得者専用」エントランス

 高所得者専用エントランスと、低所得者専用エントランスが同時に設置された、高級コンドミニアムがNYで建設されており、論争を呼んでいる。通称「POOR DOOR」と呼ばれる低所得者専用エントランス。日本ではタブーとして同様のことは行われないが、減税措置などNY独自の行政事情にもあるようだ。

 NYのアッパーウエストサイドに位置し、ハドソン川に面する土地に建設中の高級コンド。33階建てで274戸のユニットが提供される予定だ。ただ、NYポスト紙によると、この地区は元々、住民の収入の中央値がこの地区の住民の年収の中央値は5万1540ドルかもしくはそれ以下。60%は中間層になるという。

 デベロッパーがリバーサイドという立地の良さに目をつけて高級コンドの建設を計画し、建設計画も市から承認されていた。

 NYは市民の4.63%にあたる約38万人が富裕層(ウエルスインサイト調べ)にあたるものの、ほとんどが中間層や貧困層。そのためか、NY市は低所得者が入居可能な高級マンションを建設すれば、そのデベロッパーには減税措置を受けることができるようにしている。

 この物件のデベロッパーはエクステル社で、大きな話題となったセントラルパークに面する超高級マンション「One57」の開発も行った大手だ。開発計画の意図は同社はコメントしていない。

 274戸のうち55戸が中間層以下の低所得者に提供される予定だ。そこで、高所得者エントランスをリバーサイドにして高層階を用意、一方で低所得者のエントランスをその反対側に設置して低層階を提供することになった。ちなみに、低所得者向け2部屋の家賃は月あたり1099ドルだという。

 昨年の計画申請提出の際には、すでに盛り込まれていたプアドアは論争となったが、低所得者にとってもそんなに悪い条件ではなさそうだ。ただ、日本でこんなものが建設されれば、さらにとんでもない論争に発展しそうだ。


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