先日行われた国内最大のサラブレッドセール「セレクトセール」では、落札率が前年以上の85.1%で、落札価格総額も125億7505万円と、8億1035万円増だった。「アゼリの2014」が2億5000万円で近藤利一氏が、「リッスンの2013」がカタール王族の代理人が2億6000万円で、それぞれ落札するなど、億超えは14頭だった。最近10年間の同セールにおいて、億超えで落札した頭数をオーナー別に並べてみた。
1位「トーセン」の島川氏
1 島川隆哉 19頭
2 近藤利一 10頭
3 グローブエクワインマネージメント 9頭
4 多田信尊 6頭
5 ダノックス 5頭
5 里見治 5頭
7 関口房朗 4頭
8 金子真人HD 3頭
8 ダーレー・ジャパン 3頭
10 デビッド・レッドバース 2頭
青山洋一ら
※敬称略
ここではセレクトセールの落札額が1億円以上の馬を対象とした。心理的な上限として、セリを降りる馬主たちもいるためで、たとえ落札できてもレース賞金による回収は難しい。それを10年間で見ることで、馬主の資金力がわかりやすくなる。
最も多かったのが島川隆哉氏で19頭。島川氏の本業はジャパンヘルスサミット社長で、牧場も持つオーナーブリーダーである。「トーセン」の冠馬名で知られ、2011年の天皇賞秋でトーセンジョーダンがG1初勝利している。2位が「アドマイヤ」の冠で有名な近藤利一氏が入っている。
このあたりの大物馬主たちは良血馬のセリから降りないということで、どんどん値段が上がっていく。馬主界においてもいわゆる雲の上の人で、落札額が1億円以上になってしまうと、オープン馬になった程度では回収できないので、新人馬主たちは黙って見ているだけになってしまう。
4位の多田信尊氏は腕利きの競馬エージェントにして、3位グローブエクワインマネージメントの代表者で、両者は一体の存在。セリの当事者ではなく代理人であるが、馬主への貢献度も高い。フィールズの山本英俊氏、セガサミーHDの里見治氏、ヴィクトワール・ピサなどで知られる市川義美氏らと関係が深い。活躍場を多数、競り落としている。
同じような形態では、スクーデリアという法人もあり、前出の山本英俊氏ともかかわりがある。こちらには、AKB48の運営会社AKSを秋元康氏らと創設したことでも知られる窪田康志氏も関連するようだ。
5位ダノックスは、オービック会長兼社長の野田順弘氏の資産管理会社。夫人の野田みづき氏名義の馬は「ミッキー」という冠馬名でも知られる。
8位は言わずと知れた金子真人氏の資産管理会社だ。