高額落札馬主ランキング(セレクトセール)

「金は出しても口は出さぬ」

 上場企業の図研の創業者としても知られるが、日本の馬主史上では最も成功を収めた人とも言われる。これまでの主な活躍馬には、ディープインパクト、キングカメハメハ、クロフネ、アパパネ、トゥザヴィクトリー、カネヒキリなどスターホースが並ぶ。

 なぜここまで成功したのかは一概には言いきれないが、主要生産牧場のノーザンファームの馬に強く、特に同牧場のサンデーサイレンス産駒で大きな成果を上げている。ディープインパクトなどを管理した池江泰郎・元調教師は、現役時に金子氏のことを「馬を羽振り良くパッと買うタイプ。かと思えばレースの使い方や調教について細かな口出しはしない」と筆者の取材に答えたことがある。

 馬の素質はもちろん大事なのだが、エージェントや調教師が評価する馬を買い、そして、現場への介入はしなかったというのが成功の大きな要因ではなかろうか。

 他では、カタールのファルド・アルターニ殿下の代理人が10位に入っている点も気にかかる。カタール王室と言えば、伊高級ブランドのバレンティノや、英高級百貨店ハロッズをはじめ、ランドマークとなるような高級不動産など、世界中でブランドの買い漁りを行っている勢力だ。また、世界最高峰のレースである凱旋門賞のスポンサーにもなっており、競馬に力を入れるようになった。

 今年は最高額となった「リッスンの2013」を2億6000万円、他にも「ミュージカルウェイの2014」を1億8000万円で競り落としている。ともにディープ産駒で、億超え2頭を競り落とした。他にも、5~9000万円台の馬も購入しており、本気度は高そうでUAE勢より今後は驚異となりそうだ。

 また、新興勢力ではエステサロン「ミュゼプラチナム」の経営母体ジンコーポレーション、高橋仁氏や、カレンチャン、カレンブラックヒルで旋風を起こしている、眼科医の鈴木隆司氏の名前もある。

  減価償却資産にもなる競走馬を購入することは節税策の一つであり、複数頭所有することで事業所得にもなり、損益通算が可能となる。もちろん、それ以上に馬主として競馬にかかわることに魅力がある。

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