タイで代理母を通して9人の子供を出産し育てているとされる24歳の日本人男性が、人身売買の疑いを持たれ現地警察から行方を追われている。相続対策との報道も一部にはあるが、そう簡単に割り切れそうにはない。目的は何か、そしてこの男性はいったい何者か。
乳児9人がタイの高級マンションの一室で育てられているところを発見され、人身売買ではないか、と現地のメディアではかなり騒ぎたてられている。13人が出産されたという記録があるそうだ。そして、パスポート、空港のカメラで撮影された画像なども現地メディアでいくつも取り上げられたことで、名前と顔が判明。ほぼ、フォーブス長者番付の常連である大富豪の子息であると見られている。
この24歳男性は父親の企業の株式を資産管理会社名義で110万株保有。時価にすれば約73億円となる。年間配当だけで約1億7000万円にも上る。ちなみに、この件に関する報道で同社の株価は大きく下落したほどだ。
子供たちは1人あたり約20万バーツ(約60万円)かけて育てられているそうで、代理人が現地メディアに語ったところでは、男性は富裕層で現金や債券など自身の資産を子供たちの名義に変えて残しているともいう。
男性の主な資産は国内の株式であるため、あくまでも日本政府の課税対象である。また、日本発行のパスポートがあるために、日本国籍であり通常の相続課税はなされる。ただし、国籍を変更するか、もしくは、相続人と被相続人がともに5年以上は非居住者となれば回避はできる。ちなみに、タイは相続税がかからないことで知られている。
子供は人身売買するとは思えないような育てられ方をされている。また、ここまでの資産家がするほど大して利益になる商売でもない。それでは、目的は何か。
男性の父の会社をよく知るジャーナリストは「海外の大学に通っていたと聞いています。それに、タイをはじめアジア各国で色々と渡航歴があるようだから、かなりの土地勘もあるはず。単なる相続対策というレベルを超えているようにも思えますが、本当の目的はわかりません」という。
あくまで可能性だが、男性は子供たちを自身のファミリーとして迎え入れるつもりだろう。その上で血こそつながっていないものの、縁でつながり自身の息がかかるファミリーを育てて、自身の「王国」を築き上げようとしていたのか?
だが、不自然なのはまだ24歳から、ここまでの知識を持ち、さらにそれを実行に移していたという点だ。謎の相続騒動の解明が待たれる。