筋萎縮性側索硬化症(ALS)の寄付を呼び掛ける運動「Ice Bucket Challenge」。いわゆる富裕層やセレブたちが頭から氷水を被るパフォーマンスだが、そろそろ潮時ではないか。最近は「社会貢献芸人化」している中国の大富豪、陳光標(ちん・こうひょう)氏がこのたびチャレンジを行ったが、「ヤラセ」だという非難の声がインターネットで上がり始めている。
陳光標氏は社会貢献活動にひじょうに熱心な大富豪として知られる。ただ、最近はパフォーマンス化、ショーアップ化しすぎているきらいもあり、社会貢献芸人のような存在に危惧する声もあった。
先日、米NYで行われた貧しい人たち1000人を対象にした100万ドルの食事会では、約束通りお金を渡さなかったなどとして批判が起きた。そして、当然ながらアイスバケツチャレンジに参加しないわけがなかった。指名があってもなくても。
自身の公式サイト上でもその模様の動画がアップされており、中国メディアでも広く報道されている。
大きなバケツに身を入れて、氷水を15杯頭からかぶる。その溜まった氷水の中に身を浸している状態の中に、さらに氷を継ぎ足していく。バケツから出た後は、氷の上に寝そべって、さらに自身の腹の上に氷を乗せるというパフォーマンスも行った。
こうした行動に偽造騒ぎが出ているのだ。ウェイボーなどインターネット上では、氷はアクリルの造形物、水はぬるま湯を使っているなどという。そうでなければ、氷水に数分間浸かっているという行動はおかしいというもので、みている人には不自然に映ったのだろうか。
最終的には、札束が入った段ボール箱を見せて、合わせて寄付も行うという姿勢を示している。
ジョージ・ブッシュ元大統領、ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏ら大富豪をはじめ、日本でも浜崎あゆみさん、渡辺麻友さんらセレブたちが行った。一方で、武井壮さん、岡田武史氏らは受けず、チャリー・シーンさんはバケツで札束を被るというパフォーマンスを披露している。みんなの党の浅尾慶一郎代表が安倍晋三首相を指名するなど、無茶ぶりも起きている。
日本ALS協会は「皆さまへのお願い」として「アイスバケツチャレンジで、冷たい氷水をかぶることや、寄付をすることは強制ではありません。皆様のお気持ちだけで十分ですので、くれぐれも無理はしないようにお願いします」とコメントを発表している。存在をアピールするという当初の目的は達したのではないだろうか。