慶応大運用収入55億円、リーマン前の水準に

 国内の主要私立大学の2013年度の決算が発表された。資産運用収入では慶応義塾大が総額55億1651万2233円となり、リーマンショック前の2007年度の収入レベルをほぼ回復したことがわかった。2008年度は一時は500億円以上の含み損を抱えるなどしたが、2007年度の水準まで回復している。市場環境の良さもあり、各大学も軒並み前年比増となった。

 関東、関西の各主要総合大学の運用収入は次のとおりとなる。
◆関東
上智大  20億円 
早稲田大 17億円
中央大  17億円 
明治大  9.3億円
青山学院大7.7億円
法政大  6.7億円
学習院大 5.1億円
立教大  2.7億円

◆関西
立命館大 10.3億円 
同志社大 9.1億円 
関西大  6.8億円
関西学院大5.3億円


慶応大
 サブプライムショック、リーマンショックで為替デリバティブで不覚を取った大学もあり、中には、決算書に為替デリバティブの保有がないことを強調している大学もある。市況は好転し、2013年度は各大学とも、利息・配当金が増えたこともあり収入増加につながっている。有価証券の中では満期保有目的の債券が多くの割合を占めるが、慶応は債券に加えて株式資産を多く組み入れていることで、その恩恵を受けているようだ。
 
 慶応の資産運用収入の総額55億1651万2233円で内訳は次のとおりとなる。

・第3号基本金引当資産運用収入 10.6億円
・受取利息・配当金収入 36億円
・施設設備利用料    8.4億円

 保有資産は、有価証券・株式34.3億円、投資信託323億円、公社債585億円、外貨預金0円となっている。

 慶応大のここ数年間の資産運用収入と利息・配当収入は次のとおり。
2012年度 35.8億円(利息・配当16億円)
2011年度 27.8億円(同8億円)
2010年度 41.7億円(同21.6億円)
2009年度 32.8億円(同10億円)
2008年度 31億円(同9.8億円)
2007年度 57.3億円(同37.8億円)
2006年度 68.2億円(同51.4億円)

 海外では、米国ではハーバード大が最近5年の平均リターンが1.7%という低率に苦しみ、運用トップが退任した。また、寄付金集めでもスタンフォードに抜かれたこともあり、誘致政策を必死で行うなど、各大学間の資金集め競争は激化していきそうだ。

 日本国内では、各大学ともに少子化を意識しており、サブプライムショック、リーマンショックの為替デリバティブの運用での損失は、それを補うためだったことが一因であることは言うまでもない。今後はどのようにリスクを取っていくのか。ᷓ

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる