九州電力が、太陽光発電など再生可能エネルギーの電力の買い取りを一時中断する方針であることがわかった。朝日新聞などが伝えているが、すでに一部で買い取の中断を決定しており、九州管内全土に広がることで今後は、法人だけにとどまらず、個人富裕層や不動産投資家らにも影響を与えそうだ。
再生エネルギーの固定価格買取制度によって、個人でも太陽光発電による電気が自宅で使う電気を上回る量の発電をした場合に、その分の電力を、1キロW時あたり42円で10年間電力会社に売ることができるようになった。
また、富裕層や不動産投資家にとっては、個人では雑所得と認定されるが事業規模として認定されれば、他の収益との損益通算がなされるために、節税もできるために人気化した。
今回、九州電力の決定の背景には、九州地方の立地条件がある。それは、日照時間が長く地価が安いという点で太陽光発電の用地には最適でもあったという点だ。そうした理由からか、九州産業局が昨年発表した太陽光発電に関する統計によると、九州は総出力約321万キロWで全国最多、件数は9件と全国2位となっており、太陽光発電1基あたりの規模が大きい。
中には、大規模太陽光発電所を巡っては、温泉地としても人気の大分県由布市が規制条例を施行し、市が景観を損なうと判断した場合には勧告をする。このようにブームに冷静さを求める自治体も出てきていることも確かだ。
地元には雇用が発生しない点や、20年後には現行の買取制度が終了する点など様々な問題を内包しており、先行きを危ぶむ意見はこれまでにも出ていた。
九州の太陽光発電による総出力電力は321万キロW。2020年度には600万キロWになると予測しているものの、想定以上のスピードで増加しているという。