国土交通省から基準地価が発表された。全国の下落幅は減少し、東京・大阪・名古屋の三大都市圏は2年連続で上昇するなど、アベノミクスによる大規模金融緩和政策の影響が見られるが、東京都内で昨年と比較すれば上昇がすでに最終段階に差し掛かっていること示唆する兆候も見られる。
基準地価とは、都道府県基準地標準価格と正式には呼ばれており、7月1日時点の土地価格を基準にしている。商業地、住宅地、工業地区分分けされて、各地点が定点観測されて適正価格を知る目安とされる。1平方メートルあたりの価格で示される。
まず東京都では23区全体で1.9%上昇し、昨年の0.5%よりも大きく上昇している。住宅地の下落している地点はなくなった。その中でも特に、千代田区は5.5%上昇(昨年3.1%上昇)、中央区は7.5%上昇(同2.3%上昇)、港区は5.4%上昇(同2.7%上昇)と高い上昇率となった。従来からの高級住宅地はもとより、2020年開催の東京五輪のインフラ整備にともなう期待から中央区を中心に、品川区や江東区などにもそれは波及している。
上昇は周辺地域にも波及しており、多摩地域は全体で1.0%上昇(昨年0.5%上昇)、武蔵野市も2.8%上昇(同1.7%上昇)、立川市も1.9%上昇(同2.2%上昇)となった。神奈川県でも、横浜市は1.7%上昇(同1.1%上昇)、川崎市は1.5%上昇(同1.4%上昇)となるなど住宅地はすべての区で上昇となった。港北区、都筑区、中原区はともに2%以上の上昇、相模原市も上昇している。
また、埼玉県、千葉県も上昇に転じる地点が多くなっている。都心部では現状、買い手が手控える傾向がすでに出ており、横浜、川崎などに候補を広げたり、仙台、福岡も視野に入れるケースも出ている。関係者によると、外国人投資家にも利回りを考えて地方の物件も候補として紹介するケースもあるという。
東京の地価は、千代田区から時計回りに上がり始める傾向にあるのが一般的だが、バブルはすでに後半戦に入っていることを物語っているようでもある。