米投資運用会社ジャナス・キャピタル・グループは26日、債券王ビル・グロース氏が加入したと発表した。PIMCO(ピムコ)から正式に移籍して、9月29日からヤヌスで債券運用を率いることになる。新たに債券ファンドが立ち上がるといい、さらに同社には、ノーベル経済学賞受賞者のマイロン・ショールズ氏も加わる。
グロース氏のコメントはジャナスが発表しており、それによると「わたしは大規模で複雑な組織を管理していくことをあきらめました。債券市場や投資に焦点を完全に移すことを楽しみにしています。クライアントの資産を管理することに1日の大半を費やすことを尊重するため、わたしは次の家にヤヌスを選びました。債券のCIOギブソン・スミスのチームとのパートナーシップを楽しみにいしています」と述べており、近年のピムコでの苦しみを表している。
ジャナスは、コロラド州デンバーに本社を置く、投資運用会社。日本ではあまりなじみはないものの、債券投資の大手でもあり、総合的な投資運用管理を行っている。
ジャナスのリチャード・ワイルCEO(最高経営責任者)は「ビル債券投資で代表的な存在で実績もあり。マクロ戦略を中心に、ますます難解となる債券市場をリードしてくれることだろう」と述べている。
グロース氏は、1971年のピムコ創設メンバーの一人であり、常に第一線で活躍。「トータル・リターン・ファンド」の運用を担当し、債券投資で大きなリターンは出ないという投資業界の定説を覆し、年率10%を超えるリターンをあげることも多かった。それでついた称号が「債券王」だった。デューク大卒、UCLAでMBA取得。これらの学費をギャンブルで稼ぎ出した武勇伝もある、名うてのギャンブラーでもある。
昨年ピムコを去ったモハメド・エラリアンCEOは、グロース氏と運営を方針などで対立していたとされる。また、トータル・リターン・ファンドは近年はパフォーマンスが低調で、8月まで16カ月連続で資金流出が続いていた。