米著名ヘッジファンド運用会社パーシングスクエア・キャピタル・マネージメントの今年9月までのリターンが31.5%に上ることがロイター通信などの報道でわかった。アクティビストの当たり年ともなっている今年、10月末にアムステルダム市場での新規株式公開(IPO)で20億ドルの調達計画を明らかにするなど、勢いを感じさせる。

ビル・アックマン氏
同社は今年、製薬会社バリアント・ファーマシューティカルズとともに、同業者アラガンの敵対的買収を進めている。バリアントが530億ドルで買収提案を行っているが、こう着状態が続いている。しかし、買収期待から、今年に入ってからアラガンの株価は5割以上も上昇しており、これがリターンに寄与している。
2年間戦いを続けている健康食品販売のハーバライフだが、こちらは派手な発言ばかりが目立つものの、こう着状態になっている。
戦いは長くなりそうな雲行きでアクティビストの生命線とも言える追加の軍資金だが、リーマンショック後から検討してきた待望のIPOによる資金調達がもうすぐ実現しそうだ。
2009年には大量の償還が出たために、本来は投資に回すはずの資金をフル回転することができずに、解約用の資金に回したこともあった。この年は41%のリターンを出してただけに悔やまれるが、その失敗の轍は踏まないつもりのようだ。
ただし、10月に入ってからは心配な材料も出ている。連邦政府系の2社フレディマックとファニーメイに関しては、配当などの株主還元を巡る訴訟で、米連邦地裁が主張を認めなかったために、それを受けて株価は暴落した。年末にかけてパフォーマンスがブレーキになる可能性もあり、予断は許さない情勢だ。