ノーベル財団の資産運用は改善し年率15.3%に

 スウェーデン王立科学アカデミーが発表した2014年のノーベル物理学賞で、赤崎勇名城大終身教授(85)、天野浩名古屋大教授(54)、中村修二カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)の日本人3人が独占したが、副賞800万スウェーデンクローネの賞金の出所であるノーベル財団の資産運用が大きく改善していることがわかった。

 ノーベル財団は、インフレを考慮した年利3.5%以上を最低限の運用ノルマを目標とする。運用総額は34億3700万スウェーデンクローネ(以下SK、約517億円)で、近年の運用パフォーマンスは次のようになっている。

2007年 4.7%
2008年 -19.0%
2009年 14.4%
2010年 5.5%
2011年 -2.6%
2012年 7.8%
2013年 15.3%

 2008年のリーマンショックは特に痛手となり、これを契機に2001年から2011年まで1000万SK出してきた賞金を2012年からは800万SKに減額した。これの煽りを受けたのが、同年に生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京大教授だった。

 さて、2013年の成績だが、プライベートエクイティ(PE)を含めて株式の比率が高いのが特徴。スウェーデン国内の割合は少なく、ほぼ海外に投資している。同年のポートフォリオは次のようになる。

56% 株式
15% フィクスドインカム(FI)
29% オルタナティブ

 世界的な株高に沸いたこの年は、株価上昇が大きく寄与しており、好パフォーマンスにつながった。おかげで、株式の利益は、5億8700万SKで、2012年末の2億5300万SKよりも倍増している。

 FIは国内のものの比率が大きく、オルタナティブは3分の2は海外のヘッジファンドへの投資に置いている。リスクヘッジのために、2012年にヘッジファンドへの投資比率を高めようとの方針も検討されたが、現状ではまだ増えてはいない。

 ヘッジファンドでは、DEショー、チューダーインベストメント、ブレバンハワードなどのものを保有。

 賞金や受賞式典などにかかる総額費用の推移は次のようになる。

2011年 6998万SK
2012年 6789万SK
2013年 5954万SK

 かなり緊縮されてきていることがわかる。また、2013年のノーベル財団のすべての支出は、ノーベル賞の副賞などを含めて9960万SKだった。

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