フェラーリ分離上場、筆頭株主は38歳ユヴェントスオーナーに?

 伊大手自動車メーカーのフィアットクライスラーグループが29日、傘下のフェラーリ分離独立させ、株式10%を欧米の市場で上場(IPO)させることを発表した。残り10%をフェラーリ家に、80%をフィアットグループの株主に割り当てるとともに、25億ドルの転換社債を発行する。この資本政策でフェラーリの筆頭株主になるのは、38歳のイタリア人男性となりそう。


セルジオ・マルキオンヌ氏(左)とラ・フェラーリ
 現体制下で何度も出ては消えたフェラーリ分離上場案。世界7位のフィアットグループがクライスラーを傘下に収める資本政策の一つとして検討されてきた。しかし、すでにクライスラーを傘下に収めたことでその目的は消えたかに見えたが、転換社債を発行するにあたっての抱き合わせの資本政策として行ったということだろう。また、現場ではフェラーリ会長ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏が退任し、セルジオ・マルキオンヌ氏体制になったことで路線対立や障壁がなくなったこともあるだろう。

 元々、トラクターなどの農機事業で高い価値を持つフィアットグループだけに、自動車部門の再建が長年の課題であった。フィアットのマルキオンヌCEOは「フィアットとフェラーリが別の道を歩んでいくことは正しい決断」とコメントした。

 さて、フェラーリの時価総額だが、2010年9月に米NYタイムズが試算した時価総額は31億ドル。今年5月にマルキオンヌ氏は46億ドル~75億ドルだと述べている。そして、この日のCNBCは50億ドル~60億ドルレベルとしている。予測レンジに幅があるため定かではないが、いずれにせよその10%が上場される。フェラーリコレクターにとって、フェラーリ株もコレクション対象になるのかどうか。

 同グループの高級車部門にはマセラッティが残ることになるが、実質的にはフィアット株主にフェラーリ株は割り当てられるために、フィアットの筆頭株主がイコール、フェラーリの筆頭株主となる。フィアットの上位株主は次のとおり。

エクソール        30.05%
ベイリー・ギフォードCO 2.64%
ヴァンガード・インターナショナルグロースファンド 2.00%
中国人民銀行       2.00%

 エクソール(Exor)とはユダヤ系イタリア大富豪のアニエリ一族の資産管理会社。サッカーの名門ユヴェントスのオーナーとしても知られる。そのアニエリ一族とは、過去にもフェラーリの独立、さらにはF1の運営権の取得を計画し動いたこともある野心家でもある。今回の分離独立にはアニエリ一族の意向が大きく働いているだろう。


ジョン・エルカン氏
 その現在のアニエリ家の当主は3代目ジョン・エルカン氏(38)。創業者ジャンニ・アリエリ会長の孫で、現在はフィアットグループの会長でもある。21歳からグループ入りし販売員なども経験している。

 エクソールはフェラーリをフィアットグループからの分離に対して前向きであるとこれまでに伝えられてきた。アニエリ一族は過去にはフェラーリの経営に参画した歴史があり思い入れもある。さらに、フェラーリの筆頭株主の座を手にした上で、F1の運営会社である社フォーミュラ1マネージメントをバーニー・エクレストン会長から買い取るという計画もあった。

 エクレストン氏の手法への批判もあり、さらには同氏が80歳をすぎ高齢のために、今後再び野望実現に向けて動きだす可能性もある。

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