アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が30日付の米誌ブルームバーグ・ビジネスウィークで、同性愛者であるとの原稿を寄せた。CEO就任以来、従業員雇用の多様化を目指してきた背景が明らかになったとともに、また、今後はさらにマイノリティ層であるLGBTの雇用に力を入れていくという強いメッセージでもある。
LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイ・セクシャル、トランスジェンダーの頭文字を取った言葉で、性的マイノリティを表す総称として使われている。以下は公言している人たちの長者番付だ。
1 デビッド・ゲフィン 61億ドル
2 ピーター・ティール 22億ドル
3 ジェニファー・プリツキー 18億ドル
4 ドメニコ・ドルチェ 16.5億ドル
4 ステファノ・ガッバーナ 16.5億ドル
6 ジョン・ストライカー 16億ドル
7 マイケル・コース 10億ドル
※敬称略
これは、ゆかしメディアがフォーブスの試算を基に集計したLGBTの大富豪の総資産ランキング。クック氏は入っていないものの、富裕層の中にも実際は多くのLGBTがいるだろう。
クック氏はビジネスウィークの中で「すべての人々の平等のために、これからも発言していきたい」などと寄稿している。アップルの従業員は以前から知っていたという。実は米国の同性愛向け雑誌でも、クック氏は最も影響力のある同性愛者に選ばれているからだ。
今年8月に従業員の人種の多様性についてアップルは発表しているが、クック氏はこれには「まだ満足していない」とコメントしている。人種だけに限らずマイノリティ層であるLGBTの雇用の拡大を狙ったことは確実視される。
どれくらいの割合でいるのかは定かではないが、電通総研の「LGBT調査」(2012年)によると、出現比率は6万9789人中5.2%(3637人)だった。
L:0.1% 83人
G:0.3% 196人
B:0.7% 513人
T:4.1% 2845人
また、一般層よりも相対的に学歴が高く年収も高いのが特徴だ。
英出会い系サイトGaydarの調査結果によると、平均給与2.6万ポンドに対して、Gの人は5万ポンドという結果が出ている。
男性誌
GQが2011年に掲載した年収分布では、ゲイと一般大生、レズビアンと一般女性の比較ではともにマイノリティの方が高額年収者の割合が高いことが明らかになっている。
1500万円以上 年収1000~1500万円未満
ゲイ男性 2.1% 1.8%
一般男性 5.6% 4.4%
レズ女性 0.3% 0.5%
一般女性 0.0% 0.2%
ちなみに、「収入なし」は、ゲイとレズが圧倒的に少数派で、いかに有能であるかを示している。トップ自らカミングアウトしたことが評価されるだろう。