最新の中国長者番付で電子商取引大手アリババグループのジャック・マー(馬雲)氏が1位となった。中国人大富豪は長者番付でも当たり前となったが、その15年の変遷を見ていくことにする。「赤い資本家」と呼ばれた国家副主席の栄毅仁氏から、IT起業家の馬雲氏までその変化がわかる。
中国版フォーブスと言われるハルンレポートのデータによると、アリババの馬氏は総資産額は2兆円を超えて中国の長者番付では史上最高額となった。しかも、同国のIT起業家でここまでの成功は例がない。
その市場の礎を作った一人と言えば、1999年、2000年と2年連続1位となった栄毅仁氏だろう。国家主席の鄧小平氏の下で、国家副主席として市場開放路線を推し進めていったことでも知られる。投資コングロマリットとしても経済的な成功を経て、現在も栄ファミリーは繁栄している。
以降、現在にいたるまで、中国共産党幹部たちが富裕層になりやすくなっており、腐敗がひどく最近は汚職の取り締まりをしなければならない堕落を招くことにもつながっている。
◆1999年~2014年の各年の長者番付ランキング1位
1999年 栄毅仁(83) 10億ドル 投資コングロマリット
2000年 栄毅仁(84) 20億ドル 同
2001年 刘永行兄弟(53)10億ドル 投資会社
2002年 栄智健(60) 80億ドル 投資会社
2003年 丁磊(32) 90億ドル オンラインゲーム会社
2004年 黄光裕(35) 10億ドル 家電量販店
2005年 黄光裕(36) 20億ドル 家電量販店
2006年 張菌(49) 30億ドル 不動産
2007年 楊惠妍(25) 180億ドル 不動産
2008年 黄光裕(39) 60億ドル 家電量販店
2009年 王传福(43) 50億ドル 自動車
2010年 宗慶後(65) 120億ドル 不動産
2011年 梁稳根(55) 110億ドル メーカー
2012年 宗慶後(67) 126億ドル 不動産
2013年 王権林(59) 220億ドル 不動産
2014年 馬雲(50) 258億ドル IT企業
投資会社の流れが2002年まで続くが、米国のITバブル崩壊の後の2003年にオンラインゲーム会社という新しい風邪を吹かせたのが、当時32歳の丁磊氏だった。丁氏の存在がなぜ重要かと言うと、一般家庭に生まれたセルフメイドの大富豪だから。
一般家庭に生まれ普通に大学を卒業し、最初は地方政府でエンジニアとして就職した。その後、中国大手オンラインゲームメーカーのヘットイーズを1997年に創業し、新規株式上場させた。この時がまだ32歳という若さで、それ以降は長者番付で1位にはなっていないものの、その後も長者番付の常連メンバーである。
リーマンショック前から投資熱の高まりから不動産業が多くなっており、2007年に25歳の若さで1位になった楊惠妍氏は2代目。その前年2006年の張氏も同じ女性だが、境遇が正反対という点でも興味深い。その後も不動産業が幅を利かしてきたが、不動産の見通しは不透明なだけに、今後もアリババの馬氏が安泰ではないだろうか。