総連本部、2倍の価格で転売は可能か?

 朝鮮総連中央本部の土地建物の競売で、最高裁第三小法廷は、マルナカホールディングス(本社・高松市)への売却許可決定を不服とした総連の抗告棄却を決定した。マルナカHDが22億1000万円で所有権が移転するが、不動産会社、政府系機関などへの転売をすると見られている。ただし、立ち退きなどでトラブルが発生した場合には、思わぬ「ハイリスクハイリターン」案件となることもあり得るが、果たして成功するかどうか。

 東京の人にとってはあまり聞きなれない「マルナカホールディングス」だが、発祥の香川を拠点に中国・四国地方を中心に「マルナカ」というスーパーを展開してきたことで知られ、中・四国での認知度はひじょうに高い。その本業は2011年に流通最大手のイオングループに約450億円で売却し、その後は投資会社となっている。

 元々は大正時代に中山政市氏が食品の卸売商をスタートさせ、長男の芳彦氏が商圏を拡大させた。地元マスコミ関係者は「メディアに登場しているのをあまり見たことはなく、イオンとの買収決定の記者会見の時くらいです」という。さらに「他県の競合が進出してきたら、必ず叩きのめすまで、やり返すということで『瀬戸内の暴れん坊』とも呼ばれています。移動に時間がかかるということで、ヘリで移動をしていることは有名です」と話す。

 現在は3代目の明憲氏が当主となり業態も違うが、「先代とタイプは同じ」(前出マスコミ関係者)。総連中央本部の落札で一族の悲願である東京進出を果たしたことになる。

 その総連中央本部だが、土地面積は2390平方メートル。建物も合わせての価格は50億円以上だった。土地だけで見ると、22億1000万円の落札価格で計算すれば、平米あたり単価は92万円程度。周辺相場の平米単価が110万円程度のため安いと言うことができる。

 靖国神社、法政大学、病院などの神社・仏閣、公共施設なども多く、開発については難しい。ただ、不動産価値の高い千代田区の一等地ということもあり、マンションの建設用地と考えるのが一般的だろう。

 マルナカHDは、総連とは無関係で総連に賃貸しない意思を示しており、即立ち退きを要求するだろう。その場合に、総連側と何らかのトラブルが起き難航すれば、転売に支障をきたす恐れがないわけではない。

 底値拾いにこそ成功したが、いずれにせよ「ハイリスクハイリターン」な投資であることに違いない。

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