国税庁と各国税局がまとめた、平成25事務年度の事業所得で1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な業種上位10業種が判明した。1位は風俗業、2位はキャバレー、3位はバーとなった。上位の3業種は前年と同じで、くず金卸売業は7位から4位に上昇。また、特定貨物運送は前年15位から5位に、一般貨物運送も12位から8位にそれぞれ上昇した。
業種 申告漏れ所得 追徴税額 申告漏れ割合
1 風俗業 3329万円 1069万円 88.0%
2 キャバレー 1972万円 433万円 77.4%
3 バー 1226万円 213万円 71.1%
4 くず金卸売業 1055万円 210万円 29.9%
5 特定貨物運送 979万円 95万円 62.2%
6 プログラマー 971万円 98万円 74.4%
7 特産農業 927万円 254万円 32.1%
8 一般貨物運送 865万円 108万円 54.5%
9 建設、設備工事 855万円 66万円 64.5%
10 冷暖房設備工事 848万円 119万円 43.0%
※所得額、追徴額は1件あたり
続いて、各国税局発表分で見てみることにする。金額は1人あたり申告漏れ所得額。
◆札幌
1 畜産農業 1316万円
2 電気配線工事 1276万円
3 大工工事 1041万円
4 水道衛生工事 900万円
5 バー 831万円
・風俗業と弁護士が長らくトップを争ってきたが、ここ2年は畜産農業が1位となった。
◆仙台
1 風俗業 2492万円
2 スタンドバー 1008万円
3 塗装工事 910万円
4 果樹栽培農業 888万円
5 自動車小売業 867万円
・風俗業19年度から(東日本大震災時の23年度のぞく)すべて2位以内。かつて強かった眼科医、弁護士などは最近は出てこなくなった。
◆関東
1 風俗業 2675万円
2 畜産農業 1884万円
3 バー 1675万円
4 キャバレー 1521万円
5 防水工事 1197万円
・毎年、医師が強い傾向にあり、前年は1位が産婦人科医である。ただ、近年は北関東に風俗業の進出が著しいこともあり、今回は風俗業が1位となった。
◆東京
1 風俗業 4351万円
2 情報サービス2407万円
3 バー 1254万円
4 美容 932万円
5 プログラマー855万円
・バーは7年連続、プログラマーは5年連続でそれぞれランク入り。風俗は1件あたりの申告漏れ金額がここ10年で最高額となったように景気を反映しているようだ。
◆金沢
1 米作農業 1099万円
2 建築工事 1033万円
3 設備工事 876万円
4 土木工事 833万円
5 スナック 676万円
・金沢国税局は区分が細かいため、飲食でも「うどん・そば」「すし」「焼肉」「小料理」など多岐にわたる。米作農業が前年のランク外から1位となっているが、可能性としては、新幹線建設などで地価が上昇しており何らかの用地買収によるものではないかと推測される。
◆名古屋
1 キャバレー 2423万円
2 風俗業 2093万円
3 貨物運送 1029万円
4 小売業・家電 919万円
5 人材派遣業 889万円
・風俗業とキャバレーが毎年、1、2位を争う。
◆大阪
1 貸金業 1億341万円
2 風俗業 9159万円
3 くず紙卸売1761万円
4 食肉小売業1684万円
5 廃棄物処理1568万円
・貸金業が昨年から申告漏れ所得額が5倍以上に増加。風俗業よりも貸金業が強いのが大阪管内の特徴で、麻雀クラブ、パチンコ、古紙回収業なども毎年、上位に入る。大阪国税局の元調査官が、免許なしに金を貸し付け地歩された事案が発生したり、「闇金」も多い。
大阪府が平成22年に発表した貸金業者動向調査によると、昭和60年以降の業者の登録件数は減少し続けているものの、ほとんどの業者が「闇金はなくならない」「増加する」と回答しており、闇金利用の拡大は懸念される。
◆広島
1 風俗業 3059万円
2 機械部品加工 1819万円
3 スタンドバー 1003万円
4 弁護士 957万円
5 型枠工事 942万円
・風俗業は前年の6位から上昇。申告漏れ額も1300間年から3059万円まで増額した。今年は顔を出していないが、毎年、貸金業者が上位に入るのも特徴だ。
◆高松
1 果樹栽培農業 1195万円
2 米作農業 1049万円
3 野菜栽培農業 861万円
4 大工工事 804万円
5 塗装工事 750万円
・みかんの産地、愛媛県を抱えるだけに果樹栽培農業が上位に入ることが多い。果樹栽培農家、野菜農家、米農家、水産養殖業など一次産業が上位の常連でもある。
◆福岡
1 スタンドバー 1761万円
2 とび工事 1384万円
3 防水工事 990万円
4 冷暖房設備工事969万円
5 野菜栽培農業 794万円
・スタンドバー(いわゆるガールズバー、立ち飲みなど)が2年連続1位。しかし、前年の申告漏れ額2388万円から大幅ダウンしている。