正味財産10億円「盛田正明テニス・ファンド」の運用益

選手の活躍が最大のリターン?


ATPツアーファイナル出場選手たち
 ここまではスケールの大きな話と、大きな金額ばかりが並んだが、寄付金も約1000万円弱集まっていることが目録から判明している。実は、これはすべて個人からによるものだという。錦織選手の活躍によってこのファンドの存在は大きく知られることになってきたため、今後は寄付金も増えていくことが見込めるだろう。

 ここで選抜された卵たちは、マリア・シャラポワ選手らが育成された米国のIMGアカデミーに送り込むこまれることになるが、2000年に初めて送り込み、公募制となった昨年は0人だったという。選考基準はひじょうに厳しく、また選抜されたとはいえ、毎年定められた目標をクリアーできなければその時点で帰国となる。

 また、選手側のメリットとして、このファンドは資金の返還を決して求めることはなく、唯一、世界ランキング100位以内に入ったら最初の5年間は賞金の10%を返すというくらい。まさに出世払いで選手にとっては、それほど大きな負担でもなく、ありがたいかぎりだろう。錦織選手の楽天ジャパンOPまでの生涯獲得賞金は約730万ドル。トップ選手を輩出すればするほど、財団にとって最も大きなリターンをもたらし、ひいてはそれが後進のためにもなるということだ。

 現在、潤沢なようにも見える資産は、裏を返せば実際にはまだまだ「人材不足」という現状を示しているようだ。

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