富裕層になりたいならハーバードより配管工に?

 「富裕層になりたいのなら、ハーバードへ行くより配管工になれ」


 前NY市長で大富豪のマイケル・ブルームバーグ氏がこのたび、米金融市場協会(SIFMA)の年次総会の中で発言した。米CNNによると、ブルームバーグ氏は「もしもあなた方のお子さんが将来、大学へ行くか配管工になるか迷っていたら、よく考えなければならない」とし、加えて「素晴らしい配管工であるならば、価格決定権を持っているからだ」と説明した。

 発言の趣旨はおおむね次のようなものだ。まず、ハーバードに行くデメリットとしては、学費が年間5万ドル以上はかかるということ。さらに、将来的にはホワイトカラーでもテクノロジーの進化で取って替わられてしまう職業があること。そして、さらには給与上昇が頭打ちになっているということだ。

 しかし、例えば配管工になれば最初の高い学費の支払いは必要なく、また、水道管が世の中からなくなるということは考えにくいため未来も存在する職業である可能性が高く、さらには熟練すれば自身で価格決定権を持つことができる。

 両方を天秤にかければ、配管工自体は悪い選択肢ではないということもわかる。

 学費の高騰はおさまる気配もなく、米国の教育ローンも社会問題化しており、返済支援を行う自治体も出てくるなどしているほどだ。ラスキン米財務副長官は、卒業時点の平均的な負債額は300万円で返済には10年以上かかり、滞納者が約700万人にも上るということを明らかにしている。

 現在、資産10億ドル以上を保有する大富豪は、ハーバードなどのエリート校を出ている証左結果も明らかになっている。ただし、自力で大富豪になった人は、親の代からの大富豪よりも、エリート校出身率は少し低くなる傾向にある。◆参考:米大富豪のハーバード大率11%

 ちなみに、米国の富裕層研究の名著として知られる「となりの億万長者」によれば、富裕層が経営する事業を一覧化しており、その一部を抜粋すると次のようになっている。

 アパレル、エンジニア、害虫駆除、カフェテリア経営、競売・鑑定人、業務用清掃・消毒、コイン・切手ディーラー、精肉加工業、地質コンサルタント、米作農業など地味なものも多い。

 ブルームバーグ氏の指摘もあながち間違いではないようだ。

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