少子化に悩む韓国で「独身税」が検討されていることが、地元紙の報道で明らかになった。正式なものではないと後に当局が否定しているとは言え、批判の声も多い。
韓国では、合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計した値で、1人の女性が一生の間に産むとされる子供の数)が世界でも最低水準にあり、また堕胎率
が高いことも原因とされている。合計特殊出生率の推移は次のとおり。
1980年 2.82
1990年 1.57
2000年 1.47
2010年 1.23
この独身税だが歴史上、ブルガリアで導入されたことがある。1968年から1989年までの21年もの間導入されたが、効果はさっぱり。出生率が導入前の2.18から1.86まで低下するなど明らかな逆効果となっている。
元々、ブルガリア自体が人口1000万人未満の小さな国であり、統制経済下での課税で効果は限定的とも予想されていた。
日本でも過去に自民党の小委員会で話として出たこともある。ただ、反対意見も多い。例えば、独身でも事情があって一人で子育てをしている人もいるなど、こうした人の立場が十分に考慮されていない。さらに、宗教的な理由から独身でいることもある人に対しても課税するということであれば、信教の自由にも抵触する。
独身税が結婚を後押しするケースは、独身の富裕層や高所得者に限られる可能性があり、それ以外のケースは逆効果になりそうだ。税金で敏感に動くのは富裕層や高所得者で、一般層は動く余地が少なく、効果は疑問だ。