国税庁は、平成25事務年度(昨年7月~今年6月)に租税条約に基づく情報交換をした実績を発表し、要請件数は前年比34.5%増の720件で、海外から国税庁に寄せられた自発的な情報交換件数は、472件から6881件と15倍になったことが判明した。
租税条約とは海外取引や資産状況を把握して課税逃れを防ぐために情報交換を行うことができるもので、日本の国税庁は88カ国・地域と結んでいる。要請があった場合はお互いに情報交換し合うが、要請がない場合にも自発的に通知している、いわゆる「チクリ」の実態が今回の統計で明らかになっている。
要請に基づいて寄せられた情報は720件で前年比で34.5%増。加えて、要請がなくても自発的に寄せられる情報は、前年比15倍の6881件と増大している。
要請に基づく情報を地域別にみると、アジア・大洋州が469件、米が191件だった。
要請した例としては、相続税の調査で亡くなった調査対象者が保有する国の金融機関口座が、日本から送金実績がありながら申告が少額だったため税務当局に調査を依頼。実際には多額の残高が残っていたことが判明し課税が行われた、というものもあった。