2015不動産投資見通し、東京1位、大阪3位

 来年2015年のアジアの不動産投資の見通しランキングで、東京1位、大阪3位となったことが、アーバンランド・インスティテュートと、プライスウォーターハウスクーパースによる不動産動向調査報告書「不動産の新しい動向 アジア太平洋2015年」によって明らかになった。


 日本政府による大規模な経済刺激策が大きな要因となり、不動産の取得に弾みがつき、2015年の見通しランキングでは東京がトップ市場の地位を保つとともに、2年前の調査では22位と最下層に甘んじていた大阪もトップグループに躍進した。

 PWCの高木宏氏は「2020年に開催予定の東京オリンピックが、投資家やデベロッパー、政策立案者に東京を改めて見直す機会となっています。インフラストラクチャー、オフィスビルやショッピングモール等、多くの開発が行われています。こうした開発に加え、総合リゾート設立地の可能性がある東京は、投資対象として復活してきました。この成長ストーリーは継続するとみています」としている。

 2015年の投資見通しにおける上位5位の市場の概要は次のとおり。

・東京(投資見通し・開発見通しとも1位) 不動産価格の上昇が見込まれるだけではなく、認知されるリスクが低水準にある一番手の都市というステータスも魅力の源泉。

・ジャカルタ(投資見通し・開発見通しとも2位) インドネシア経済が活況にあり、不動産価格もこの数年で大幅に上昇したことに拠るもの。総じて、不動産価格はアジアの他の大都市に比べ低水準。ただし気掛かりなのは市場が依然として不透明で、インタビュー回答者は土地の権利関係と裁判制度に懸念を示している。

・大阪(投資見通し3位、開発見通し4位) 東京では資産の取得競争が激烈で、その結果多くの投資家が日本の二番手市場に押し出されており、大阪はその恩恵にある。特にオフィス部門が供給過剰だが、昨年にその大半が吸収された。

・シドニー(投資見通し4位、開発見通し3位) 高い利回りと成熟した経済が外国人投資家を引きつけており、年金基金とホールセールファンドも多数参画しているため、取得競争が激化。現在、シドニーでは開発投資に対する関心が高く、築古のオフィスビルを住宅に転用するプロジェクトが注目されている。

・メルボルン(投資見通し・開発見通しとも5位) シドニーと似た投資環境の市場として見られている。開発投資が強力に推し進められ、豊富な資金が投資先を探しており、またキャップレートは魅力的な水準にある。

 課題としては次のような見方がある。まず、人気のある市場は価格や流動性の面でも首都など一番手都市となっている。日本では例外的に、J―REITとの競争が厳しく、
東京以外の都市にも投資家は進出している。また、新興市場については、米金利上昇もあり警戒感を抱く投資家も出てきており、市場としての魅力に陰りは出てきている。

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