マカオ政府が発表したカジノ産業の2014年の年間収益によると、対前年比2.6%マイナスの3515億香港ドル(約5兆4647億円)となったことが明らかになった。2ケタ成長を維持し続けてきた成長産業が初の足踏みとなった。中国共産党による役人の汚職取り締まり強化により、ハイローラーとなる超富裕層顧客が減少したことが原因。
マカオの観光産業のみならず、マカオ経済の中心となり2ケタ成長を続けていたカジノ産業も中共の取り締まりにより、明日が見えなくなった。以下は2010~14年までの全売上高を示したもの。
2014年 3515億2100万 -2.6%
2013年 3607億4900万 18.6%
2012年 3041億3900万 13.5%
2011年 2678億6700万 42.2%
2010年 1883億4300万 57.8%
※単位:香港ドル
2010年から13年にかけて、約2倍に成長していることがわかる。また14年についても、わずか2.65のマイナスにとどまっている。だが、統計上で見ても思った以上に深刻だ。ここ数年間は月単位で見ても、対前年比でのマイナスはなかった。しかし、昨年6月からは、7カ月連続の対前年比マイナスになった。以下は2014年の月次売上の対前年比。
1月 7.0%
2月 40.3%
3月 13.1%
4月 10.6%
5月 9.3%
6月 -3.7%
7月 -3.6%
8月 -6.1%
9月 -11.7%
10月 -23.2%
11月 -19.6%
12月 -30.4%
特に9月からは2ケタのマイナスが続き、特に12月は30.4%のマイナスという結果になっている。中国政府が汚職の取り締まりを強化するために、ビザの発行条件を厳しくしたりするなど、それが大きな原因となっているようだ。
90年代には低迷し行き詰ったマカオ経済。それまでのスタンレー・ホー氏のカジノ独占権をなくし、カジノライセンスの発行の規制を緩和することになった。MGM、サンズ、ウィン、ギャラクシーなど大手が進出し、今日の繁栄を築いてきた。
反面、それはマネーロンダリングの発展の歴史でもあり、中国は本土以外に年間5万ドル以上の送金は禁止されているものの、仲介業者に相当するジャケットによって地下銀行などをはじめ様々な海外送金が行われているという疑いも、過去のウィキリークスによって言及されたこともある。一昨年には、当局によるジャンケット業者の摘発も実際にあった。
また、収賄罪で無期懲役の判決が下された元中共幹部の薄熙来氏もマカオのカジノを使っての不正蓄財のマネーロンダリングを行っていたとされる。
売上の3分の2を占めるハイローラー(超富裕層らVIP顧客)が戻ってくる日は来るのだろうか。戻ってこなければ、一転して斜陽産業になる。