政府・与党は自営業者の事業承継を円滑に行いやすくするために、相続税の優遇措置を拡大することで検討に入った。相続税制が強化されることで事業継承に影響をこれまで以上に与えると見られており、与党の税制改正にも盛り込まれていた。その一方で、事業用と個人用の資産の線引きに不明朗さが残るなどの問題点も抱えている。
共同通信の報道では、現行制度では土地にかかる相続税を軽減しており、建物や設備も対象に加えることなどを2016年度税制改正で議論されるという。
帝国データバンクの統計によると、2013年の休廃業・解散件数は2万8943件。業種別では建設業、製造業、卸売業が多い。理由には業績の低迷や先行きの見通しの暗さもあるが、後継者難で休廃業・解散をした事業者も多くいる。
それに輪を掛けるように、相続税率の上昇や控除の縮小などが襲いかかる。そのために、土地だけでなく、建物、機械など設備の評価についても考慮されるようだ。
与党の税制改正大綱では「現行制度上、事業用の宅地について特例措置があり、すでに相続税負担の大幅な軽減が図られているが、事業用資産以外の資産を持つ者との公平性の観点に留意する必要があること」などとしている。その上で「法人と異なり、対象とすべき事業用資産とそれ以外の資産の区分が明確ではなく、それを客観的に区分することも困難である」ともしている。
個人事業主の資産の線引きに課題を残しており、この点などが検討される。