米国籍離脱者3415人で過去最高、FATCAも影響か

 2014年の米国の国籍離脱者が3415人に上ることが、米政府の官報によって明らかになった。前年の2999人から大幅増で、過去最大となった。

 ここ数年は4ケタが当たり前となっているが、税負担からの回避、税務申告による法的事務負担の増加、これらに加えてさらに、FATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)の施行による影響もやはり大きいと見られる。

2014年 3415人
2013年 2999人
2012年  932人
2011年 1781人
2010年 1534人
2009年  704人
2008年  231人
2007年  470人
2006年  278人
2005年 762人
2004年 631人
2003年  571人
2002年  503人
2001年 491人
2000年  431人
1999年  434人
1998年  398人


andrew michell LCCより
 FATCAにより、米国人(在住者、グリーンカード取得者など)に該当する人は、口座情報を米国政府に報告することが求められている。世界中のどの金融機関に資産を保有していても、米国政府には情報が届くために、課税網が出来上がっていることになる。

 税国籍離脱で象徴的だった出来事は2012年のエデュアルド・サベリン氏のシンガポール移住だろう。SNS最大手フェイスブック共同創業者で、2008年から米国籍を離れてシンガポールに移住し、当時の同社株38億ドルから、約6億ドルの課税機会を失われたことが、国民的議論を呼び起こした。

 サベリン氏は、ブラジル生まれで後に米国移住、ハーバード大卒。偉大なアメリカンサクセスストーリーとなったが、その成功を支えた米国社会に対して砂をかけるような行為だとの批判が噴出した。

 米国は、2008年から純資産200万ドル以上の富裕層に対して、国籍離脱、永住権放棄の場合は資産一般の見実現のキャピタルゲイン、つまり利益確定していない含み益に対して、「出国税」を課している。

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