20代女性、255億円マンション購入よりも7億円賃貸選ぶ、富裕税強化見越し

 富裕層にとっての世界有数の高級住宅街であるロンドン中心街で、高級物件をはじめとした物件の賃料が上昇しているのだという。総選挙後の政権交代による不動産課税を見据えての動きだと見られる。その象徴として、中国の20代女性が、世界最高峰のマンションであるワンハイドパークを、400万ポンド(約7億3080万円)で5年契約を交わしたという例も出てきた。


ワンハイドパーク
 5月に行われる英国の総選挙では支持率低迷のまま推移する現政権の保守党に替わって、野党の労働党が政権を奪取するとの見方が地元メディアなどでは大勢を占める。どちらが政権運営を行っても、緊縮財政は免れないが、富裕層に対してよりシビアだと見られるのは労働党だ。

 その労働党の目玉政策の一つとして掲げているのが、不動産も対象とした富裕税。200万ポンド以上の物件に対して14万ポンドの税金が課せられることになる。

 緊縮財政を進めて財政再建を目指してきた現キャメロン政権は支持率が上がらず、その一方で、ロンドン中心街の不動産価格の値上がりは歯止めが利かない状態になっていた。そうした中で野党の労働党の支持が上がってきており、労働党の目玉政策が、富裕層向けの不動産課税というわけだ。

 200万ポンド以上のマンション、住宅を保有した場合には14万ポンド課税されるというもの。超富裕層たちはほぼ既成事実かのように動いており、先日は、ロンドン移住を計画している女優アンジェリーナ・ジョリーさんが英TV局のインタビューで「当分、先送りになるかもしれないわね」とも述べているほど。

 また、ゆかしメディアでは以前にもロンドン高級不動産の取引20%以上減少、増税、バブル視野かとして取り上げたが、いずれにせよ今後については悲観的な見通しがかなり出ている。

 もちろん、今後も中国人バイヤー、さらには世界最大の年金基金である日本のGPIFに期待をする声もあるが、厳しい税制は一気に投資熱を冷ますだけの現実味があるだけに、警戒に越したことはない。

 そこにきて、英デイリーメールの報道によると、中国の20代女性がワンハイドパークの部屋を5年400万ポンドで賃貸借契約を締結したのだという。ワンハイドパークは分譲価格が1億4000万ポンド(約255億円)という世界最高クラスのマンション。購入すれば、高級マンションが買うことができるくらいの税金が課せられることもあるため、レンタルを選んだとも考えられる。

 英不動産会社ダグラス&ゴードンが公表している、英ロンドン中心街の賃貸の統計だが、今年1月は大幅に人数が増加したのだ。昨年はほぼ年間を通して賃貸よりも購入が多かったため、近づく総選挙を意識しているのだろうか。


ロンドン中心街の賃貸契約人数の推移

富裕層への課税について、関連するゆかしメディアの記事はこちら
富裕層の含み益に課税「出国税」実施へ

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる